第13話
深く息を吐いた。男だらけがなんだ、気にする必要は無い。私そもそもそんなに女子っぽくないし。自覚がある分自分で言っていて悲しくなるが……。
よし、と呟いてドアノブに手をかける。捻れば簡単にドアは開いていった。
まずは挨拶だ。辻祐希です、突然ではありますが短い間よろしくお願いします、って。失礼のないように。せめて端っこにいるくらいは許してもらえるように。そんな思いで、中を見
た。
そこには男子二人。〝女子〟一人。
その女子は、ド派手な真っ赤な頭をしていて、ワイシャツにプリーツスカートと海悠の女子制服姿だった。わー膝小僧が見える。あれは折ってるな。
赤い少女に目を奪われつつも、他の男子二人にも思わず目を見張ってしまう。全員、見目麗しい容姿をしているのだ。ここの空間、顔面偏差値高すぎやしないか。ギネスでも目指しているのかな。
「誰、あの子……」
「……能登さんが、言ってた子じゃない?」
「だよ、なー。待って琳、こんなすぐ来るの?」
ミルクチョコレートのような茶色い、男にしては少し長めの髪の人(イケメン)、癖のある黒髪が伸びっぱなしで顔がほとんど見えない人が赤い少女の後ろ側で話しているのが聞こえる。
そして。赤い少女はというと。
「な、なななななんで、女がここに……!?」
美少女は見た目よりずっと、まるで少年のような低い声でかなりの動揺を見せていた。スカートからすらりと伸びた健康的な脚を後ろへとよろめかせながら後退。しかし、その脚も女子にしては少し筋肉質なように見えるが何か運動をやってるからなのだろうか。
「空、またゲームに負けたの? いい加減学んだ方がいいよー。空はゲームあまり上手じゃないでしょ」
「るっせえ! 今回は行ける気がしたんだよ!」
琳が苦笑いを浮かべつつソラと呼ばれた少女は乱暴なことを言いながら大股で琳の元に近づいて、腕を掴んだと思えば半ば無理矢理に体を寄せる。
「大体なんなんだよこの女! ぼけっとマヌケな面してっけど!」
サラッと暴言食らったんだが? いくら美少女からとはいえ傷つくものがある。美少女からの罵倒はご褒美と捉える人もいるようだが私は至ってノーマル。そんな性癖はない。
「辻祐希ちゃんだよー。あと空はいつまでその格好でいるの?」
「…………クソ!」
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