普通

「それ、いいですね。普通に喋るの」


「え?」


「 “ でしょ? ” とか、とても新鮮です。これからは敬語はなしにしましょうか。堅苦しいし」


「うーん…」


「いけませんか?」


「あなたも今敬語で話してますけどね?」


「あ、本当だ」


「ハハッ じゃぁ、本当に普通に話す…よ?」


「はい――、じゃなくて、わかった」


「ハハッ」



 私も緊張から解き放たれたからか、高森のそんな提案にのってしまう。

 笑って話をしながら流れる車窓に目を向ければ、大通りは人で溢れかえっている。

 隆至と、普通に出かけられるのはいつになるのかな…。目の前を歩く恋人達が羨ましくて、目で追ってしまう。


 何個目かの交差点に差し掛かった時、赤信号で止まった高森の車。

 横断歩道が青に変わると、一斉に人々が歩き出す。



「…っ」



 そこを歩く人物を目にして、一瞬で息が止まった。

 状況が呑み込めない。



「りゅ…じ…?」



 残っている仕事を片付けるからと、会社に行った隆至。

 その隆至が、仲が良さそうに女性と腕を組んで、笑って歩いている。

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