面白い人

 素直に白状してしまった。

 お互いを干渉しないようにって事だったけど、肩の荷を下ろしたくてつい愚痴をこぼしてしまった。



「でも、水川さんは凄いですね」


「え?」



 凄い?


 私が?



「あの時、僕の事を庇って話題を逸らしてくれましたよね?」


「あの時…? あぁ、あの話の事ですか?」


「はい」



 高森のお兄さん、哲弥さんの事であっていると思う。

 先程までの緊張が解き放たれたせいか、高森は穏やかに笑って話しかけている。



「ご自身が寂しい思いをしているのに、僕の事を心配してくれました。凄いです」


「そんな。大袈裟ですよ」



 褒められることに慣れていないせいで、照れて思わず俯いてしまう。



「本来なら、その事情をお話ししなくてはいけないんですが…」



 打って変わって、ハンドルを握りながら申し訳なさそうに話し始める高森。

 対向車のライトが、眉尻を下げる高森の顔を照らし出す。



「言わなくていいっていうか、聞きません。きっと面倒事でしょ?」



 笑いながら答えれば、高森も釣られて笑いだす。



「本当に面白い人だ」――と。

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