公認

「頑張り屋だね、沙彩は」


「…」



 両親にもかけてもらった事のない言葉が、まさか高森から聞けるなんて。

 隆至は、「大変なんだな、お嬢様って」と言ってくれたけど、今は高森に言われた言葉の方が嬉しさを感じてしまった。


「僕も見習わなくちゃな」なんて社交辞令を言っては、場を沸かせる高森。

 いや、これだけの差があってそれを言うのは逆に嫌味でしょ。



「…、フゥ」



 危ない危ない…。

 一瞬、油断して鵜呑うのみするところだった…。

 これは。この場で仲睦まじい演技を見せなくてはいけない。だからあんな言葉を言われるのも当たり前。


 冷静になれ。



「匡高さんほどではないですよ? 起業なんて初めて聞いたので驚きました」


「そう?」


「ええ」



 自然を装って高森を褒めれば、嘘が上手な高森は笑顔を浮かべ、ハスキーボイスで静かに言葉を返す。

 私はうまく素を隠せたか、心臓がドキドキしていた。



「水川さんとこのお嬢さんの根性も大したもんだ。これは匡高とお似合いだな」



 ワハハと豪快に父方のお爺様が笑えば、みんなも釣られて「本当ね」なんて言いながら笑い合う。

 どうやら私は、認めてもらえたっぽい。

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