孤独
「沙彩は、子供の頃はどんな子だったの?」
あぁ…。
優しい声量のハスキーボイスが私の名前を呼ぶ。ちょっと今の私にはこの声は毒だ。声が優し過ぎる。
今朝の隆至とのやり取りを忘れそうになってしまう。
スッと高森の顔を見れば、さっきまでの強張った表情じゃなくなっていた。
やっぱり違和感を感じたのは、私の思い違いじゃなかったみたいだ。
「そうですね。私は――」
高森と私の子供の頃の差が大き過ぎて、どういう言葉で表現したらいいだろうか…。
「私は器用ではなかったので、色んなお稽古も苦戦しまして…」
「女の子は大変なのよね、習い事が多くて」
私の言葉にすぐ返してくれたのは、お義母様だった。
「はい。でもそれで、負けず嫌いになったような気がします。負ける自分が許せなくて、納得いくまでお稽古しました」
「お見合いの時に伺ったわ? ピアノのコンクールで賞をお取りになったって」
「何年もかかってやっと取ったので自慢は出来ませんが、諦めなくて良かったと思いました」
褒められたくて。
認めて貰いたくて。
あの頃の私は、孤独との戦いでもあった。
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