助け舟

「ひとつお聞きしたいんですが…」



 私が突然口を挟むと、一斉に全員の視線が集中した。

 新参者が会話に加わってくるんだから、こうなるのは仕方がない。

 けど、口を挟んでしまったからには止めるわけにはいかない。



「匡高さんは、子供の頃はどんなお子さんだったんですか?」



 さっきのお礼じゃないけど。

 高森に助け船を出すつもりで話題を変えようと思った。

 あの強張った顔、なんか痛々しくて見ていられなかったし。

 そうしたら、高森は驚いた様子で隣の私を見て来た。

 いやいや、一応婚約者の身としては、そういう個人的なことも一族の中で聞いておくのも必要だと思いません?



「匡高? そうねぇ。大人しかったけど、勉強は出来て友人も多かったわね」



 いち早く自慢気に話してくれたお義母様。

 昔を思い出しているのか、懐かしむような表情を見て、私は少しだけ安堵する。

 ちゃんと子供の事を見ていたんだな、って。

 あのパーティーを思い出してしまうと、厳しい教育を受けてきたのかもしれないって過ったんだ。

 親に意見することは許されない、私が、そうだったから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る