一族

 呼び出しの内容は、高森の両親達との昼食だった。

 お義父様が先日のパーティーでゆっくり話が出来なかったという事で、私を含め高森も呼び出されたらしい。

 着いてみればそこにはグループの一族とは違う、高森の祖父母などの身内が勢揃いしていた。

 これこそ、一族と言うには相応しい気がした…、と言うのは敢えて言わないでおこう。


 一族の勢揃いを見てしまえば、会場に足を踏み入れた瞬間から私は1人で水川家の人間として臨戦態勢に入った。

 席について、食事をしながら会話を楽しむ、と言った指向だ。

 でも、この間よりは話しやすいかな…。


 高森は3人兄弟の次男で、お義父様の会社で働いているから、勿論ここでも話題の中心。

 最近のこなした仕事の内容や、手掛けたプロジェクトの事。

 遅れを取らないよう婚約者らしく、私も相槌を打ちながら会話に加わっているつもりだけど、自分の仕事の規模と全然違い過ぎて呆気にとられたのが正直なところだ。



「結婚するんだし、沙彩さんは匡高と同じ職場で働かないのかい?」



 別会社に勤務している事が気になったのか、和服姿で目の前に座る高森の父方の祖父に問われて、「あの…」と思わず口籠る。

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