軋轢

“ いつも ”



 確かに、そうだと思う。

 契約の政略結婚だとしても、まさかこんなに高森の人間に振り回されるなんて予想もしていなかった。

 早く帰って今夜こそは隆至にご飯を作らなきゃ!と会社を出たところで「これから帰るね」とメッセージを打ったのに、お義母様に呼び出されて夕食を共にしたり。

 一馬さんの待ち伏せがあると、高森を呼び出したり。

 大輔さんや郁人さんの誰かが社に来ると、必ず匡高さんを呼び出しては一緒に外出したり。

 でも、婚約者のふりを演じるのが契約だから、それをないがしろにするわけにもいかなくて…。

 

 今週末は予定がなくて今日は誰にもつかまらずに帰って来られたから2人でゆっくりできると思っていたけど。

 今日も隆至は帰っても私はいないと、そう思っているのかもしれない。

 でも、あの温厚な隆至が怒るなんて…。

 ずっと隆至に、我慢をさせていたのかな。

 だとしたら、隆至が怒るのも当たり前なんだ。

 それだけ酷い扱いをしていたんだ。



「…クヨクヨしたって仕方ない」



 隆至がいつ帰ってきてもすぐご飯を食べられるように、買ってきた材料をキッチンに広げて料理を始めた。

 笑って「おかえり」って言いたいし、仲直りもしたい。

 喧嘩なんてしたくない。

 せっかく2人で暮らせているんだから。

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