ダメージ

「ただい、ま…っと。…いないか」



 経営の猛者たちからのお誘いを一通りこなして、ひと月が経った頃。


 やっと週末はゆっくり過ごせるようになった。

 けど逆に、設計で張り切っていた隆至は、平日に帰宅しない事が増えた。


「泊まり込みだったんだ」

「打ち合わせで朝早いから、そのまま現地のビジネスホテルに泊まった」

 ――とか。


 その行動は事後報告がほとんどで。

 帰ってこない日は心配で、何度電話をかけても繋がらないことが多かった。

 その事で、顔を合わせればいつも喧嘩口調になってしまって…。



「先に連絡くらい出来ると思うんだけど」


「それが出来ないくらい忙しいんだよ! 俺には電話をする時間も惜しいんだ」



 喧嘩をすると隆至はビジネスホテルに泊まると言って家を飛び出し、帰って来ない時もあった。

 隆至の仕事が忙しいことくらい私も理解できる。私もかける言葉を選べば良かったんだ。


 でも、なにに傷付いたかって――



「沙彩はいつもいないんだから、俺が家に帰らなくても問題ないだろ?」



 そう、吐き捨てるように放った言葉だった。

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