縛り

 終業直後、隆至に「ご飯作って待ってるね! 早く帰って来られそう?」と連絡を入れると、「ごめん、接待が入っちゃったんだ」と、返事が返ってきた。



「ツイてないなぁ…」


「私がついた嘘が本当になったわね」



 美鈴と最近出来たバルに立ち寄り、ビールを飲みながら時間を過ごす。

 最近合コンに行ったという美鈴の話を聞いていると、人生を楽しんでるなって思う反面、羨ましくもある。

 大学卒業後、就職してから3年。後輩も出来て同期とも楽しく過ごしてた。

 つい最近まではそんな生活だったけど、高森と見合いをしてからガラッと変わった。

 隆至と外で会う事は難しくなったし、私には行動の縛りがある。

 隆至と手を繋いで、と言うのも、何かしらの対策をしないといけない。

 高森にそれを言われた時は見合いの後だったし、高森も彼女と出掛ける時はそうしているみたいで。



「まるで芸能人ね」


「そう思うよね? 変装なんてなんだか自惚れてるみたいで嫌だな」


「でもやらないと、今日来た人たちにバレるとヤバいんでしょ?」


「そうなんだよねぇ。一族の誰かが弱味を握ろうとして探偵とか使ってそうじゃない?」


「こ~わっ」



 こんな呑気な会話も、現実には起こらないと思っていたから出てきた言葉で。

 でも、高森が同じマンションの隣同士に新居を構えたのも、いろんな意味で慎重に行動をしていたんだろうか。

 よくよく考えてみたら、あの集まりのように一族に対して警戒をしていたとしか思えない。

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