面倒

 美鈴の演技に「そっか~。残念」と、2人は納得してくれたみたいで。



「本当にすみません。せっかく来ていただいたのに」


「ううん、良いよ。これからはちょくちょく来ることになると思うし、また次の機会にだね」


「あ、はい…。そう、なんですね…? その時には是非…」



 ちょっと待って。

 、ですって?

 いや、一馬さんと言い、大輔さんと言い、郁人さんと言い。

 結構しつこい人種ですか?


 高森一族、…面倒くさい。


 大輔さんと郁人さんが帰ると、真っ先に美鈴にお礼を言った。



「本当に助かった!ありがとう!」


「あのイケメン初めて見たけど。あれよね? 不動産会社の…」


「そう。よく知ってたね? 私昨日初めて知ったよ」


「うちって取引してたのね。知らなかった」


「美鈴も初めて聞いた?」


「うん」


「あー…、こんなところまで来るなんて。面倒くさいこと、この上ない…」


「沙彩、顔、顔」


「選択間違えたかな~、もう…」



 だらしのない顔を美鈴に指摘される。

 だって。

 ただでさえ毎週末は一族の人に顔を合わせなければならないのに、こちらの会社にまで来るなんて。



「ほら。美味しい料理でも作って、惚れ直させちゃわないとでしょ?」


「う~ん…。あぁ、気合入れないと!」


「私は1人で晩酌するわ」


「今度付き合うから」


「ひと月経たないとでしょ?」


「ゔっ…、そうでした」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る