寛容な人

 でも、高森の彼女は寛容な人だな。

 常日頃からこんなに忙しいこの人を、文句言わず見送っているんだから。

 じゃぁ…、一馬さんと喧嘩の原因になった女性ひとの事も、やっぱり知ってるのかな。

 って、こんな事を私が心配しても仕方がないんだけど。



「彼女さんに怒られたりしません? 予定を詰めちゃって」


「大丈夫です。彼女は怒ったりしません」


「一緒に出掛けられないのに?」


「はい」



 ふ~ん…。高森の彼女の事を聞いてみれば、なんて大人な対応をする人なんだろう。

 怒らない、か。


 それ、ホントに?

 腹の中ではものすごくキレてるかもしれないのに?



「へぇ…」



 なんか。

 私だけ拗ねてるみたいで嫌なんですけど。

 不機嫌丸出しになっておいてなんなんだけどさ…。

 高森の彼女と比べるわけではないけど、隆至は、怒らないかな。

 同じ部屋に住んでるのに、週末は一緒に過ごせないし、買い物だってろくに行けないし。

 それが1ヶ月続くなんて、私だったら絶対拗ねそう。



 ―――――――――――……………



「え、マジで?」


「…うん」


「あ~…、そっか…。じゃぁ仕方ない、か」


「本当、ごめんなさい」


「沙彩が悪いわけじゃないだろ? 高森さんが言ったみたいに、今はただ沙彩の事を接待したいだけなんだよ、きっと。その数が多いってだけだよ」


「隆至…」



 怒らない人がここにもいた。

 なんて心が広い人なんだ。

 しかも私を庇うなんて…!

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