第5話

「近くにいたよ、ずっと」



「は?」



「あ、裕くんの家ここ?」



「え?あーうん、今開ける」



鍵を開けて、中に入れる。

適当に座らせて、お茶を出して鈴鹿に渡す。



「で、説明してくれよ、どういうことだ?」



「色々あってね、あの家に入れなくなったの」



ちょっとずつ明かされていくあの日の出来事。

それからの鈴鹿の暮らし。



俺が思ってたより、大変だったらしい。


まぁ、いわゆる夜逃げをしたらしいんだが…

鈴鹿の家は貧しいってわけでもないし、両親は優しい人だった。だけど、それが仇となって、借金取りから追われることになってしまったらしい。

今は、何とか落ち着いて静かに平和に過ごしているという。



確かに、鈴鹿の両親は頼まれたら断れなさそうな人たちだ。

きっと、友人の頼みだからと思って断れなかったんだろう。

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