ラッキーアッパー
「頼む!これで100連目」
僕はハマっているソシャゲの推しキャラをお迎えするために貯めた石を溶かしている。数か月貯め最初は100連分あった石も、夏のアイスのようにすぐ溶けてもう最後の100連目になってしまった。もう後がなく全力で祈る、しかし出てきたのはもう持っている被りのキャラだった。
落ち込んで机に突っ伏せていると誰かに声をかけられた。
「よっ、また運が悪かったんだな」
軽くからかうように友達の武知にそう言われ、そうなんだよと愚痴を言った。
「そういやお前、ずっと運悪いもんな」
そう、僕は物凄く運が悪いのだ。テストで2択になって勘で決めると毎回不正解だし、ガチャは天井まで出ない事もよくあるし、クレーンゲームは1個取るのに3千円は使ってしまう。
運良くする物ってあるかなぁと呟いた。武知はふと何かを思いだしみたいで話し出した。
「なぁなぁ、知ってるか?森の近くにずっと閉まっているお店があんじゃん」
「あのお店がどうしたの?」
壁には蔓が巻き付き看板はボロボロでやっている雰囲気は全然ないお店だ。
「噂によると深夜十一時に開いていることがあって、不思議な道具を貰えるらしい。」
そんなことがあるはずないとその時は鼻で笑ったがその日の深夜十一時、僕は歩いて噂の場所に向かっていた。
うん、眠れなかっただけで決して好奇心ではないと心に言い訳をする。
都会とは言えないこの町では11時には歩いてる人も明かりも少なく静かな夜の世界だった。
歩いて十分経った頃、僕はお店についた。
「あ、開いてる」
普段は閉まって。いる扉が開いていた。それは特別で何かが起きそうと感じた
そしてここまできたなら入らないと気がすまないと感じ扉を開け入った。
入ってみるとボロボロの外装とは違い内装は多少埃やヒビがあったがキレイであった。
人こそいないがなぜだか気分が落ち着いてくる場所だ、何が置いてあるんだろうと見てみる。
棚の中に様々な物が置いてあり、物の前には説明分が書いてある。
1日後がわかる日記、3分時間を戻せる時計、他人が何をしているかわかる本など現実的じゃないのにそこまで派手でもない地味な道具だった。
「おっ、このお店にはいれるなんて運がいいねぇ」と声をかけられた。
あなたは誰なんかと聞くとどうやらここの店長らしい。
「運がいいってどういうことですか、僕はいっつも運が悪いし」
「このお店に入れるのは一か月に一人だけだし、誰も入れない月もあるからな。」
僕の疑問に答えた後そのまま、間髪入れずに話し出した。
「そして入れたラッキーな人はここにある特別な道具を1つ貰うことができるんだ。」
「ところで君がいつも運が悪いっていってたね、それならこの運気アッパーをあげるよ、これは運気をあげることができる道具なんだ」
「使い方は箱の中に書いてあるから。」
そうまくし立て僕に強引に押しつけられたと思ったからさっきまで店にいたのに自分の部屋の中にいた。
なんだ夢か、そんな道具現実にないもんな早く寝ないとなと布団に入る。
少し開いていたカーテンから刺した光は僕を起こしに来た。
ベットから降りるとゴトっとなにかにぶつかったみたいで拾ってみると、きのう夢だと思った、道具が置いてあった。
ボールペンみたいな見た目の道具の使い方をしるために説明書を読んでみる。この道具を持ち、「運気よ上がれ」と言うことで運を上げることができ、「元に戻れ」というと上がった運気はもとに戻る。なんてわかりやすい方法なんだ、そして注意点も書いてあった。
この道具を使ったら1時間以内に元に戻さないといけない。そして1日1回しか使ってはいけないと書いてあった。まあうっかりしない限りは大丈夫か。そう思い学校へ行った。学校では朝の時間いつも早く先生がやってきてこう言った。
「今から、席替えをする!」
急であったため生徒からブーイングが飛んだが先生はそんなのお構いなく始めて行った。
ちょうどいい機会だし、試してみるか。「運気よ上がれ」恥ずかしいから誰にも聞こえないように小さく呟いた。結果は・・・・
なんと武知が隣だし先生から見えにくいサボりスポットに移動できた。
「今日は運いいじゃん、何かあった?」
武知が訪ねてくる。
「まぁね、魔法みたいなものかな」
よしこの道具は本物だ!そして忘れる前に言っておくか「元に戻れ」
そこからというもの私は毎日のようにこの道具を使いガチャも大当たりをだして、テストも勘があたるようにしたり素晴らしく過ごしていたある日の事
深夜、眠りにつかずにパソコンの前で張り付いたように見ている。
それもそうだ、今日からスッイチ2が予約できるのだから。
パソコンの時計が1時になった、僕は唱えた。パソコンを更新する、しかし出てこなく嫌な予感がした。掛け時計を見てみるまだ11時58分だったのだ。
そうだった、このパソコンは2分早く時間が進んでいるんだった、僕は注意点に書いてあった1日1回までを破ってしまった。
「あらら、やっちゃいましたね。」
店長の声がする。
「その道具は注意点を破ってしまうとその道具で手に入れた幸運と同じぐらいの不運があなたに襲い掛かってしまうのです。」
「貴方でいうとまあ、骨折ぐらいはしちゃいますね。ま、がんばってくださいね」
その後僕は交通事後で骨折をした。しかし、たくさんの人に見舞いに来てもらえて僕は思ったみんなにきてもらえるなんて運がいいな、と。
ショートショート劇場 自遊自適 @hiropoteko
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