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 雪穂が自分のことをどう思っているかなんて、本当に考えたこともなかった。自分が当たり前に友達だと思っていたから、当然向こうもそうなんだと思っていた。

 そういえば中学の卒業式で、誰かが自分に告白したがっている、と言われたことを思い出した。結局何もなく終わって、何だったんだと思ったのだけれど、もしかしたらその相手が雪穂だったのではないだろうか? 確かに自分は、雪穂に呼び出されて教室で会話をしたのだった。『高校に行ってもさ、ときどき会おうよ』。それだけだった。自分は『うん、そうしよう』と言って、その約束を忠実に守っている。

 他に呼び出しは無かった。

 根拠は他に何もない。ただの妄想だ。だけれどももし本当にそうなのだとしたら、僕は雪穂に応えてあげることができるだろうか。

 幼い頃からずっと一緒に居て、隣にいるのが当たり前の存在。雪穂が見ているものがどんなものなのか知りたくて読み始めたBL漫画。雪穂の隣に昇が立っていたときに感じた微かな不快感。

 それが恋愛感情なのか、やっぱり自分にはわからない。

 そういえばアセクシャルについて検索したとき、恋愛感情は持つけれど性的欲求は持たない人を含むとも書いてあった。僕はどうだろう。雪穂と「そういうこと」をしたいだろうか。手は、繋いでみたいかもしれない。キスは、ちょっと分からない。セックスは、靄がかかったようにうまく想像できなかった。

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