59:慣れない体勢で力むと良くない

 帰宅する前にトイレに寄り、アティのおっぱいの味を忘れないうちにワンオペ。今日だけで何回目だよ、とは思いながらも。我慢するのも無理筋だった。

 2回ほど行い、やっと鎮まったところで帰宅する。


 晩ご飯は鹿焼肉だった。普通に塩でいただく焼肉という感じで、中々に美味かった。ただ若干の臭みはあって。そこはエレザの言ってた通りだったよね。


「ちなみに島のおばあちゃんたちから、お野菜も貰ったから、明日はそれを食べましょうね」


 シェレンさんからもたらされた新情報。しかもなんと、


「アナタの稼ぎよ? 道路、良くなりそうだから。期待も込みでくれたのね」


 と言うではないか。

 マジかあ。嬉しいな。島民に公益心が乏しいのでは、という推測もあったが。お年寄りたちは自分の生活に直結するからね。


 食後は約束通り、シェレンさんに感謝のキス。ポーラも手伝ってくれた(敷設が出来なかったのは俺の色欲のせいで、ポーラはちゃんと運搬してくれたからね)お礼にキス。軽めにしといたのでワンオペの必要はナシ(勃たないとは言ってない)だ。

 そして食休みを挟んで。


「お風呂なんだよ」


「そっか。今日は風呂の日か」


 まあ汗かきまくったし、ドロドロになったし、ちょうど良かったかもな。


「それじゃあ、いってらっしゃい」


「今日もまだ?」


「すいません」


 このうえ2人と混浴とか、もう相棒が過労死するから。寂しそうな顔をさせて申し訳ないけど、流石にね。


 というワケで、前回と同じく2人が先に入浴に行き、戻ってきたところで入れ替わりに家を出た。

 夜道を歩く。火打ちセットにも慣れたモンで、1人でもモタつかず松明を扱えるようになってきたよね。


「〜〜♪」


 生前、推していたロックバンドの歌を口ずさむ。彼らのライブも新譜も、もう聴けないんだよなあ。そう考えると、寂しいけど……ただ贅沢言うのは違うよな。本来はこんな感傷も抱けないまま即死のハズだったんだから、生きてるだけで儲けモンだし。

 と。俺の歌が途切れたところで、


「……っすか?」

「問題……せんわ」


 風に乗って、ボソボソとした話し声が聞こえてきた。


「けど……負けたら……」

「いえ。小細工など……正々堂々」

 

 なんだ。どこからだ。

 俺は松明に消火用の濡れ布を被せ、灯りを消す。直感が働いたのだ。またメタ視点だが……多分そこそこ重要なイベントじゃないかと。風呂勢が去った後の、夜更けの密会&内緒話なんて、もう如何にもだもんな。

 足音を殺して、声のする茂みへとそっと近付く。ぼんやりとした白い灯りが目印になっていた。光石か。各家庭は概ね必要分しか用意できないという貴重品を、密会のために使えるなんて……


「ワタクシの誇りの問題ですわ。侵入者1人を追い出すのに、そこまで汚い手など使いたくありませんの」


 ……どこか聞き覚えがある声だとは思っていたが。やはりロスマリーか。彼女なら貴重な光石を懐中電灯代わりに使えるのにも得心がいく。


「けど、それで万が一があったら、ウィドナ様に大目玉食らうっす」


 ウィドナ。ロスマリーの祖母で、摂政みたいな人だという話だったか。俺を排斥したいそのババアが、孫のロスマリーに汚い手を強要してるって感じか?


「…………ワタクシは」


 ロスマリーが逡巡しながら言葉を紡ごうとした、その時。


「ん?」


 密会相手の方が、不意にスンスンと鼻を鳴らした。


「何か……イカのようなニオイがしないっすか?」


 あ。

 もしかして:来女木暁?


「アナタほど鼻は利きませんから、分かりませんわ」


 密会相手は並外れた嗅覚を持ってるのだろうか。

 とにかく即離脱すべきだ。そろそろと、バックしていく。心臓が早鐘を打つが、冷静に冷静に。足元を見ながら、ゆっくりと中腰で後ろ歩き。


「っ!」


 小枝が落ちていた。あぶねえ。こういうの踏んで音を立てるとか、そんなコテコテなヤツ、令和では流行らんよ。グッと足を伸ばして避ける。丹田と尻に力をこめて……


 ――ブッ! ポパッ!


 しまった! 肛門からニュートレンド。


「誰か居るっすか!?」


 鋭い声に、万事休すかと頭が真っ白になる。

 だが、そこで望外の幸運。反対側の茂みがガサガサと揺れ、獣が走り去る後ろ姿が見えた。角もあったから鹿だろうか。


「なんだ。鹿じゃありませんの」


 向こうも勘違いしてくれたようだ。けど胸を撫で下ろしてる暇はない。

 身を低くして忍者走りでその場を去る。2人とも追っては……来てない様子。やがて湖へ続く道へと戻れた。そこでようやく生きた心地がする。


「はあ……危なかったぁ」


 灯りを点けなおすべく、火打ちセットの木箱を開けて……だけど、そのまま閉じた。石と金を打ち合わせる音までは流石に聞きつけられはしないと思うけど。

 このまま行こう。今日は月明りもあるし、湖まですぐだし、大丈夫だろう。

 

 しばらく進むと、無事に湖に出た。人っ子一人いない。貸し切り状態だ。

 服を脱いで岸に置いておき、入浴。やっぱりぬるま湯だけど、十分気持ち良い。さっき変な汗もかいたし、キレイに流しておこう。


「ふう」


 道中も思ったが、月が一際明るい。この島全体が、あの金色の光に見守られているかのよう。

 ルナストーンに聖樹様、か。ポーラがウチの気まぐれ女神さんを簡単に受け入れてたことを鑑みれば、多分そこまで厳格な一神教とかではないんだろうけど。それでも信仰になるくらいには、やっぱ神秘だよな。

 

「あ~。今日は疲れたよ」


 今も右腕は湯につけずに、岩の上に置いてるんだけど……ガーゴイルとかいうバケモン、倒しちゃったんだよな。その代償がこれだけって奇跡に近い。


「とはいえ奇跡なんて何度も起こらないのが世の常。改めて気を引き締めないとな」

 

 錬金術をやる以上、今後も危険はつきものだろうし。


「……まあ、ご褒美も凄いけどね」


 今日も性的接触が何人に何回だよって話で。


 エレザのお尻モニュモニュだったよなあ。ポーラの土手さんもプニプニだった。母娘の唇も最高だったし、アティのお乳も蒸れ蒸れで美味しかった。


「あ、いかん。また」


 湯の中で屹立きつりつを始めてしまう。いや、本当ヤべえよ、この島。


「明日もエロいこと盛り沢山だろうし、ゆっくり休まないとな」


 こうして激動の1日の終わり。

 やや悶々としながらも、長風呂を堪能するのだった。

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