60:朝から母娘とイチャついた

 セフレ島生活、5日目の朝を迎えた。

 朝ご飯は、サラダ(昨日の俺の稼ぎ)と干し魚、白米という献立。美味しかったけど、やっぱりそろそろ違う味つけも食べたいなあ。


「ごちそうさまです」


「今日はレンガ敷設なんだよ」


「そうだね」


「今日はボクも半ドンだから、午後から手伝うんだよ」


 半ドンはセフレ島にもあるんだな。週2休みで、もう1日が午前授業か。結構ゆるゆる日程だな。


「アキラ……ごちそうさまのキスはまだかしら?」


 ああ、そういう感じになってたんだった。俺は立ち上がり、台所に立って洗い物をしてるシェレンさんを後ろから軽く抱き締める。フィニスほどの肉付きはないけど、十分に柔らかい女性の体だ。


「こっち向いてください」


 言われるまま、半分振り返ったその顔に、俺も近づき。


 ――チュ


 軽く唇を重ねた。ハムハムとかしちゃうと、朝からトイレにこもる羽目になるからね。名残惜しいけど、それだけの接触で体を離した。


「それじゃあいってきます」


「あ。待って、アキラ。アナタの分のズボン、作ったのよ」


「え?」


 シェレンさんが、洗い物の手を止め、寝室へ。少しして戻ってきたその手には、


「おお!」


 布製のズボンが。


「スカートやショートパンツより、険しい場所にも行くから、肌を覆える長ズボンにしたのよ」


 ありがてえ。てか、俺がスカートやショートパンツ履いてる姿は……だいぶキツいな。森やら火山やら行っておいて良かった。

 あと、多分だけど俺が元々履いていたスラックスも考慮して、長ズボン好きと思われたのかも。なんにせよグロ女装姿が回避されたようで万々歳である。


「シャツはもう少し待ってちょうだい」


「あ、ええ。もちろん」


 下を作ってもらえただけでも本当に有り難いことだ。教師業の合間に営む服飾の仕事(エレザのも請け負ってるハズ)の更に隙間で俺の服を縫っててくれたなんて。


 俺は思わずシェレンさんを抱き締める。日常的にキスするようになったのもあってか、やたら愛おしく感じる。本来なら俺なんか相手にもされないくらいの美人なのにな。


「今度ね……アナタの体を採寸がてら調べても良いかしら?」


「ええ。それくらい、お安い御用です」


 上半身の採寸だろうし、股間は大丈夫だろう。シェレンさん、前から俺の体に興味を示してたけど、島での生活が落ち着くまで待っててくれたんだろうな。その気遣いに胸が温かくなり、一層強く抱き着いてしまう。


「ふふ。甘えん坊ね」


 軽く鼻の頭にキスしてくれた。お嫁さんが出来たら、こんな感じなのかな。もうなんかクラクラするよ。


「うう〜。ボクもギュー、ギューして欲しいんだよ!」


 抱き着いてくるポーラ。お母さんの横から俺の体に手を回してくる。少し横にズレてくれたシェレンさんと半々で抱き締める。


「えへへ〜。あとでケアケアジェルもボクが塗るんだよ」


 ああ、ケガか。昨日の夜も塗ってから寝たが、もうほとんど痛みがないな。一瞬、大丈夫だよと言いかけたけど。期待に満ちた目で見上げてくるポーラが可愛すぎて、言い出せなかった。


「ありがとう。助かるよ……じゃあ先払いだね」


 そう言って、少しだけ腰をかがめて、彼女の唇にもキスをする。シェレンさんに負けず劣らず愛おしい。


 ………………

 …………

 ……


 その後。結局、朝からトイレで処理することになった。凄いよね、愛おしさと情欲は両立してしまうんだから。これもまた、こっちに来て初めて知ったことだった。


 レンガを抱えて、昨日の掘削現場まで行くと、既にアティが敷設を始めていた。いやホント、働き者だ。彼女に限らず、この島の女性はみんなそうだけど。


「おはよう」


「おはよう……レンガ……追加」


「ああ。うん。持ってきたよ」


 ちなみに昨日置きっぱなしにしたヤツは、今アティが使ってる。追加も合わせて、全部ここにある計算だ。

 一瞬だけ、昨夜のロスマリーたちの内緒話を思い出す。汚い手を使うか否か云々。もしかしたら今後、俺排斥派に錬成物を盗まれたり壊されたりということも起こるのかも。


「アキラ……始め……ないの?」


「あ、ああ、うん。やろうか」


 取り敢えず、今は無心で進めるターンだな。

 2人で黙々とレンガを置いていく。とはいえ、地面を整備する作業に比べればマジで楽だ。ジェル状に伸びて、勝手に隙間なく組み合わさってくれるからな。


「置くだけ……やっぱりこれ……凄い」


「だよね」


「シャベルも……凄いし……アキラは絶対……この島に必要」


 そう言ってくれると、ありがたいな。排斥派も居るけど、こうして積極賛成派も居てくれるんだ。頑張らないと。


「アティ。今日はまた錬成待ちだから、それまでは」


「分かってる……掘っておく……」


「ああ、そうじゃなくて。今日の掘削はもう……」


 アティが昨日掘ってくれた分もまだレンガが間に合ってない状態だ。こっちは十分ということ。


「それだと……1日分の労働が……出来ない」


 ああ、そうか。5日分の働きを対価に、シャベルを譲るという話だったもんな。


「……今日は……私が素材集めに……ついていく」


 どうもそれで1日分とするつもりのようだ。


「エレザは……今日は……別件の……仕事だから」


「ああ、やっぱそうなのか」


 今朝は来なかったし、実はこっちに来る前に家を訪ねてもみたんだけど、留守だったんだよね。

 しかし来れないなら来れないで、一言くらいあっても……ああ、そうか。スマホどころか携帯すらないんだったわ。


「朝早くにウィドナおばばが……訪ねてきて……エレザ……あの人に……逆らえないから……」


 またウィドナって婆さんか。


「私に……言伝ことづて……」


「ああ、そういうことか」


 エレザとしても、俺に何もナシで出掛けるのはマズイと思って、アティに今の話を伝えておいたということらしい。

 やっぱり律儀な子だな、エレザも。


「分かった。そういうことなら、今日はアティと行くか」


「うん……!」


 心なしか嬉しそう。

 そんな彼女と一緒に、本日の素材集めスタートだ。

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