50:ポーラを借りますね

 取り敢えず、要求されている素材のうち、「聖樹の樹液」について話した。まさか樹皮を傷つけるワケにもいかないが、知恵はないかと。すると、ポーラは事もなげに頷いて。


「カブトムシがほじくってる所が何箇所かあるんだよ」


 おお、マジか。そしてこっちにも居るのか、カブトムシ。


「けど、いくら傷つけたのは虫でも……俺たちが樹液を採るのはオッケーなのかな?」


 直接の下手人ではないけど、なんか火事場泥棒みたいな。


「うーん。今まで樹液を採ったことなんてないから、分からないんだよ……」


「そっか」


「でもきっと大丈夫なんだよ。みんな今は働いてる時間だから、誰も聖樹様のところには来てないんだよ」

 

 悪気があるワケじゃないんだろうけど、見つからなければオッケー理論を素で言ってる辺り、ポーラって意外と大物かも知れんな。

 まあでも実際、聖樹は魔力的な要素を多分に含んでるだろうから、今後も素材に指定されることは幾度となくありそうなんだよな。その度にビクビクしてるより、こんくらい割り切ってる方が良いのかも知れない。


「……そうだな。じゃあ俺がこっそり行って採ってくるよ」


「ぼ、ボクは?」


「いや。ポーラには別にやって欲しいことがあるんだ」


 そう言うと、少しホッとした顔。前回、枝を失敬してきたことで抵抗は少なくはなってるだろうが……ルナストーン破壊の張本人としては、聖樹様の傍に行くよりここで何かしている方が気は楽なのかもね。

 とはいえ、その内容は決して「気楽」なものではないんだけどね。


「何をすれば良いんだよ?」


「オシッコを溜めておいて欲しいんだ」


「ん?」


 何を言われたか理解が追いついてない表情だ。まあそりゃそうだろうな。俺もサラッと言ったけど、冷静に客観視はしたくないし。


「素材なんだ。乙女の黄金水」


「……」


「……」


「ええ!? ぼ、ボクのオシッコが素材になるんだよ!?」


 目を見開いたポーラに、更に追い打ちのような事実を告げなくてはならない。


「しかも俺が採取することが必須条件になってる」


「ええ!? そ、そんな! 他の素材は色んな人が採って来てるんだよ!」


 そうなんだよね。理不尽だよね。でもね。エロゲ世界ではエロければご都合主義も許容されるんだって。不思議だよねえ。


「なんでもするって言ったよね?」


「え……それは……」


 可哀想だけど、他の人に頼むのも勇気が要るし。女神さんとの会話も断片的ながら聞いていて、利害関係者かつ協力的なポーラに頼むのが一番手っ取り早いんだ。俺がロリ巨乳の放尿シーンを見たいとか、そういう、あの、アレじゃないんだ。


「う……うう……恥ずかしいんだよ」


「ちょっと思ったんだけど、混浴とかはオッケーなのに、おトイレはダメなの?」


「それとこれとは全然違うんだよ。あんまり赤ちゃんが出てくるお穴の辺りは人に見せちゃダメなんだよ」


 お穴。う、うわあ。生々しい単語を聞いてしまった。ポーラみたいな純真な子供に、こんなことを言わせてる時点で、日本だったら5回くらい逮捕されてそう。


「それに……オシッコしてるところは……やっぱり恥ずかしいんだよ」


 まあ同性同士であっても、排泄行為を見せたい人は少数派だろうな。ここら辺はもう人間という生物に根源的に備わってる忌避感なのかも知らん。

 だがそこを推して参る。


「なんでもするって言ったよね?」


「うう~。ぐう。し、仕方ないんだよ……でも、それで本当にガーゴイルを倒せるんだよ?」


「ああ。倒してくるよ」


 ポーラが頑張ってくれるなら、次は俺が気張る番だろう。そういう覚悟は、既に出来てる。妹分を助けるために、その本人を辱めるってのも謎な話ではあるけどさ。


「水を……ガブガブ飲んでおくんだよ……」


 ということで、一旦別行動となった。






 デカイ幹はそれだけ多くの昆虫を育むことの出来るハコでもあって。何箇所か木の皮を食い破られて樹液が垂れているのを見つけた。低い位置にもあったので、グミのようにブヨブヨに固まった物と、液状のままの物、両方を採取した。


 家に戻る。あからさまにソワソワした様子のポーラと、訝しげなシェレンさんに出迎えられた。今からこの母親と引き剥がして娘に放尿をさせる男。いやマジで、日本だったら実刑だよ。


「シェレンさん。ちょっとポーラに協力してもらって、素材を採ります」


「危ない所に行ったりは?」


「大丈夫です。トイレに行くだけですから」


「え?」


 何を言ってるんだ、という顔。ポーラは恥ずかしかったのか、オシッコが素材になるとは言ってないみたいだな。それじゃあ俺の方からバラすのもアレか。


「10分くらいで戻りますから」


 俺はポーラの背に手を当てて、そっと促した。そして、シェレンさんの心配げな顔に強く頷き返す。


「危険なことはしないですよ、本当に」


「……そう。分かったわ。すぐに戻って来てね」


 信じて預けてくれた。ありがたい。

 

 俺たちは連れ立ってトイレへと入った。ポーラはここに来るまでも、少し歩き方が変だったが……


「も、もう出そうなんだよ」


 言いつけ通り、水を結構飲んで待っててくれたんだろう。

 俺は採取用のボロい陶器ビン(3本ほどシェレンさんに貰っている)を取り出す。


「さあ。下を脱いで」


 自分の言葉に改めて実感してしまう。今からポーラの生まれたままの下半身を見るんだ。もちろん、採取のためというのは分かってるけど……


「うう……ア、アキラが脱がせて欲しいんだよ。自分では恥ずかしいんだよ」


 その言葉に、いよいよ頭がクラクラするほどの興奮を覚えるのだった。

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