第二章 学校の不思議

第17話

 今日は日曜日。天気は晴天。

 今日は依頼人が来る予定になっているおり、僕はコーヒーを三人分入れて、テーブルに座っていた。

 ――カランカラン――

 事務所のドアが開く。

「「失礼します」」

 入ってきたのはこの事務所で働く従業員と、依頼人。


 依頼人である高瀬の妹は高瀬にそっくりで、特に大きな瞳はよく似ている。しかし、雰囲気というか、持っているオーラが二人は大きく異なる。高瀬さん……いや、姉である美奈さんはヒマワリのような、周りを明るくするようなオーラを持っているのに対し、妹は凛としたオーラで、高嶺の花を想像させる。何より妹さんは、制服が良く似合っている。さすがは現役だ。


「二人とも、よく来ましたね。探偵の青山健司と言います」

「青山さん! 今日もよろしくお願いします。ほら、花も挨拶して」

「……初めまして、高瀬花と申します。今回は、調査して欲しいことがあってきました。後、偵察に」


 花は、緊張した様子だったが、挨拶では深々とお辞儀ができる。悪い子ではなさそうだ。

 二人は僕とテーブルを挟む形で座った。


「ええっと、偵察?」

 僕は苦笑いを浮かべながら、コーヒーを片手に聞く。もしかして、花はインベーダーの一人だったり?


「ええ、姉の一生を預かるに足る男かどうか、見極めさせてもらいます!」

 僕は思わず、コーヒーを口から噴き出した。美奈も、口を両手で隠して、驚いている。一方、花は敵に戦線布告をしてやったと言わんばかりに胸を張っている。もしかしてこの子……。意外と天然?


「ええと、高――じゃなかった、美奈さんの一生を預かる気はないんだけど……」


 僕が答えると花は目を丸くして、僕と美奈さんの方を交互に見ている。そして花は、美奈を呼び、耳打ちしだす。

「え、お姉ちゃん、あんなに家ではかっこいいかっこいいって五月蠅いくせにアタックしてないの?」

「してないよ!」

 あの~二人とも会話が丸聞こえなんですが……。


 僕がコーヒーを飲みながら苦笑いを浮かべていると、仕切り直すように、花が咳払いをして言った。


「今までの一回全部忘れてください」


 そりゃあ無理でしょう~。大体、花さん、あなたの隣に座ってる人見てくださいよ。耳まで真っ赤じゃないですか? なんか僕まで体温上がってきた気がするんですけど。


「そういうことで、初めまして、高瀬花と申します。今回は、調査して欲しいことがあってきました」

 あー、そこからやるのね。僕は営業スマイルを作り直し、挨拶を返す。

「初めまして、探偵の青山健司と申します。ここから、学校の不思議な出来事について、聞いてもいいですか?」

「はい、よろしくお願いします」


 耳まで真っ赤な美奈さんは、うつむいて、コーヒーの湯気を見つめていた。

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