第4話 俺って食べ物じゃ無いんだぜ
何かが俺の身体に降り注いだ。
そのおかげか意識が少し戻る。
お腹の焼けるような感触もなくなっている。
本能的に俺は命拾いした事を悟った。
「おいおい、貴重な回復ポーションをこんなもんに使うなよ勿体ねぇ」
「うるさいなぁ!お兄ちゃんは黙ってて!」
なんか喧嘩してるみたいだな。
私の為に争わないで!
なんか、昭和の歌謡なんとかでそんな歌無かったっけかな?
どうでも良いか。
「いい? 聞いて、貴方はこのままじゃ死んじゃうわ、私のテイミングを受け入れてくれれば助ける事が出来るの! 生きたければ私のテイムモンスターになって!」
ん? 俺に言ってるのか? なんだか分からないけど助かるなら何でもするよ!
「モンスターが人間の言葉わかる訳無いだろ、バッカじゃねぇの」
「だからぁ! お兄ちゃんは黙っててって言ってるでしょう!」
はっはっは、俺には分かるのだよ! はっはっは!
『テイミング』
はうっ!なんか急に身体に何か入って来た感触した!
思わず抵抗しちゃったよ。
やっべー! もう一回! 次はちゃんとするからもう一回!
「ほらみろ、テイム出来ねぇじゃねぇか! そもそもお前なんか昨日テイマーになった初心者なんだから、まともにモンスターなんかテイム出来ねぇよ! 諦めてそんなの放っておけって!」
何言ってんの! ダメだって! 俺死にたく無いんだって!
「お兄ちゃん……ほんと嫌い! あっち行ってて!」
「無駄だって、そんなのに時間使ってる暇無いだろう、行くぞ!」
お兄ちゃん、ほんと嫌い! あっち行っててくれよ!
頼む! もう一回テイムのやつやってくれ!
「じゃあ、次失敗したら諦めるから、もう一回だけ」
よし! よし! バッチ来い!
「無駄だってやめとけッて」
俺、絶対こいつのいう事聞かない。
「いいじゃん、もう一回くらい『テイミング』」
来たー! オッケー受け入れるよ! 死なないで済むならなんでもするよ!
「あ! 出来た! じゃあ『テイムヒーリング』」
おお! おおぉ! 回復来たー!
「ワン!」
『尻尾振り』
ここは全力で好感度取りにいくよ!
「可愛い!」
いよっしゃー!
てか、改めて見たらメチャクチャ可愛いじゃんこの子!
短めのブラウンの髪に、ブラウンの瞳、魔法使いっぽいローブ着てるけど、会話の内容的にテイマーなんだろうな。
「おっかしなぁ、普通こんなに簡単にテイムできないはずなんだが……まさか本当に無抵抗だった? そんな訳無いか…」
そんな訳あるんだよ! こちとら生き残る為なら魂だって悪魔に売り飛ばす覚悟出来てるんだ!
媚びる! へつらう! 尻尾振る! 豆柴にプライドはないのだぁぁぁぁ!
「この子の名前なんにしようかな?」
「ポルテでいいんじゃ無いか? お前ポルケッタ好きだったろ? ポルケじゃゴロ悪いからポルテで」
何それカッコいい!
『ポルテで登録されました』
「こんなんでも非常食代わりにはなるだろう、お前も好きな料理の名前でも付けときゃいいんだよ」
「あ!ちょっとお兄ちゃん! ポルテになっちゃったじゃ無いの! もう! なんで犬なのに豚の丸焼きの名前にすんのよ!」
……え!?
これ、豚の丸焼きの名前なのー。
やり直しを要求する!
「一度名前つけたら変えられないのよ! お兄ちゃんのバカ!」
お兄ちゃんのバカァァァァ!
【後書き】
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