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 彼女との高校生活は、理想的なものだった。

「スミレちゃん、一緒にバドミントンやろう」

 きらきらして、華やかで、あの時夢見た晴れ舞台だと思った。教室で彼女と話した時、スポットライトはきっと、わたしの方を向き始めたのだろう。

「ねぇほたる、自販機行こ」

 彼女のお陰で、わたしはクラスメイトと話せるようになった。今まであった透明で分厚いガラスの壁はいとも容易く割れ、彼らもわたしを特段避けることはなかった。

「二宮さん、結構面白いんだね」

「二宮さんってよく笑うんだ」

「二宮さんって、ほたるの何?」

 その代わり、わたしは特異点となった。

 ほたるは、誰とも話さない。わたしが願ったから。

「スミレちゃん、あたしと帰ろう」

「課題わかんない、スミレちゃん教えて」

「スミレ」

 わたし以外と話さない彼女の事を、彼女と過ごし続ける私を、異端に思わない者がいないわけがなかった。

「二宮、伊崎と何があったんだ」

 榎本が肘をつく。教卓がかたんと鳴った。

「何って、仲良くなったんです」

「……そうか」

 榎本は手元にある手帳に何かを書き、それを閉じた。かち、とボールペンの先を仕舞いながら、榎本は心配そうな顔をしてこちらを見た。

「高校は、色々な人間が集まるから。いいやつばかりとも限らないことを、忘れるな」

 ため息混じりに吐き捨てた榎本は、教室を出ていく。それと入れ替わるかのように、ほたるが戻ってきた。

「スミレちゃん、何話してたの?」

「別になにも。そうだ、帰りカフェ行こうよ。可愛いクリームソーダがあるとこ調べたんだ、どうかな」

「……行けないよ、あたし

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