アトス到着
朝は爽やかに起きたいところだが、オッサンの野太い声で起きた。
「おぅ、飯を食うぞ」
ドレイクに寝床から引きずり出されて、ちょっとぼんやりしつつ、クレイバーとシャートとで簡易な朝食を作り、温め直したスープを飲んだ。
あー、コーヒーが飲みたい。
他の冒険者たちはカッチカチの兵糧を食べながら出発の準備をしていた。
シルスファンたちの馬車の周りが騒がしい。
どうやらシルスファンが移動の間は冒険者と一緒に行動したいと言っていて、安全性を考えた執事や侍従たちが止めてるらしい。
あんなに大人しかったシルスファンが自分の我を通そうと頑張るなんって成長したのだと思う。
ただ貴族としての生き方に必要な成長かは知らない。
誰かと意見を対立させたり討論するのは良い体験だと思うけど。
結果的にシルスファンとミシェルの使う馬車に一番近い配置だった俺たちの乗る馬車にシルスファンと執事を同乗させることになって、クレイバーがシルスファンに付くことになった。
「こちらの馬車はとても揺れるな」
シルスファンは基本的に初めての体験はすべて良いことに受け取って楽しんでいる。とても素直でいい子だ。
執事の方は「なんでわざわざ」みたいな気持ちでいるのがわかる顔をしている。
途中の休憩ではほかの冒険者たちとクレイバーで追いかけっこをしたり、冒険者ごっこをしていた。休憩にならないじゃん。だけど、冒険者たちも楽しそうにしている。
ミシェルはほぼ寝ていてくれるらしくたまに目を覚ますとシルスファンの居場所を確認するくらいだった。
俺が食事にピタパンを焼いているとき、シルスファンは隣でずっと観察して出来上がったものを味見したいと口を開けて待っていた。誰がこんなことを教えたのか。
「おいしいね」
邪気のない顔で言われてしまえば、陥落して次をあげてしまう。
いっしょに肉や野菜をピタパンに載せて、冒険者たちに配った。
「僕がお手伝いしたんだよ」
嬉しそうに配り歩く姿に、それはドットたちの分とは言えず追加を焼いた。
ちょっと困った顔で俺をみる冒険者たちに俺は目くばせで「気にするな」と頷く。執事が「もうしわけありません」と謝ってくれたし、シルスファンが楽しそうなので良しだ。
長くなって、ちょっと疲れてきた旅路、シルスファンの素直で可愛い行動は俺たちをずいぶんと和ませてくれた。
その後は魔獣と遭遇することなく、快適に進んでいった。
アトスに入る直前には、多くの人に見られる場所で荷馬車に載っていることは貴族の子息として許されないとシルスファンは執事たちに説き伏せられて自分の馬車に戻った。
そして、やっと王都の手前の街、アトスに到着した。
王都に近いこともあって門では荷物の確認や冒険者の身元確認があった。これでもラシャドル侯爵家の馬車があって、先触れで冒険者一行が来ることは知らされているので簡易らしい。
俺はドットたちと一緒に身分証である冒険者タグを出した。混んでいるからか、流れ作業的に進んだ。
門を通過して、俺たち冒険者は荷馬車を降りて荷馬車は待機場に移される。
シルスファンたちが泊まる宿まで俺たちは周りを囲むようにして警護した。
宿に着くとシルスファンとミシェルは道中より身綺麗な姿で降りてきた。中で着替えたのか。
「シルス!!ミシェル!!」
宿の入り口で悲鳴のような声が聞こえてきて、俺たちはシルスファンとミシェルを囲んだがすぐに警戒を解くことになった。
「無事で本当によかったわ」
泣きながら駆け寄ってきた女性はどう見ても二人の血縁者で、執事たちがその姿を確認してスッと姿勢を正したのだ。
「お母さま!!」
「うぇーーーん」
女性の姿を確認したシルスファンとミシェルはすぐに泣きだした。
泣き出した二人を女性は両腕で抱きしめて「良かった良かった」と大泣きした。
いくら用事があるとはいえ、家族が先に帰っていたことを俺はなんだかなと思っていたが、二人はちゃんと愛されていて本当は待っていたかったに違いないとと思い直した。
しばらく見守っていた執事が、女性が少し落ち着いたころ、女性とシルスファンとミシェルを部屋に誘導した。
俺たちはシルスファンたちが王都に向けて出発するまで休暇になった。
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お待たせして申し訳ありません。
今年はこの作品にとって大きなことがありました。
その結果、更新が滞ってしまったことはひとえに私の能力不足です。
でも待っていてくださっているとお声をいただききましたこと、感謝しております。
ジェイルの旅が目安の王都まであと少しです。私が今なかなか書き進められないでいた理由も判明するかと思います。今もまだとても悩んでいます。
来年は更新頻度を上げていけるように、もっとワクワクしていただけるように頑張ります。
今年最後の一日、何とかお届けできてほっとしています、
よいお年をお過ごしください。
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