出発前夜

 ミシェルが元気になったので、出発が明日に決定した。


 予定外の滞在で、食料や飲料水ならぬ、酒をかなり消費したので、保険の予備分が心許ない状態だ。もちろん待機中にちまちま近隣の森で狩りや果物などを採っていたけれど。

 村を出ていくにあたり、お礼も込めて冒険者たちが、魔獣被害の減少&肉の確保のお手伝いも兼ねた討伐、採取に出る。


 俺ははなぜか、薬のばぁさんと常備薬(民間療法)を作っている。


「そんなしけた顔しなさんなよ」

 ばぁさんが薬研をいじりながら言う。

 いや~不服とか何もないんだけど、なぜ薬??


「村が賑やかだった御礼にクサ用意してやるさね。クサ好きなんだろうがね?」


 クサ・・・、どこに行ってもなんかアングラ感漂うよな。


「その棚のツボ取ってくれるかい」

 俺が背にしていた棚の上の方を指して、二段目のツボを取り出した。ばぁさんは自分の後ろの棚からも色々小瓶を取り出す。


「ここらの男はクサやると仕事サボるけぇね。特別な日しか用意せんのじゃわ」

 おー、サボちゃうのか。まぁタバコは休憩しちゃうな。うん。


 ちなみに村で吸われているクサは、噛みタバコが多いそうだ。畑仕事に狩仕事と毎回葉っぱ巻いて吸うのが面倒くさいから。

 どのみち仕事サボっちゃうなら、葉っぱまけるんじゃないかと思ったけど黙っておく。


 ばぁさんはクサ用の葉っぱを数種類混ぜて刻み始めた。


 めっちゃ薬草臭い。


「あんた、薬屋以外でクサなんて買うんじゃないよ」

 ここも薬屋では無いんでは・・・と思いつつ、頷いておく。


「悪い奴らは常習性のあるクサを混ぜたり、知識もないのに適当なもん入れるからね」

 この世界にも幻覚作用とかハイになれちゃうお薬が流通してしているらしい。


 ばぁさんが作っているのは二種類。乾燥させた葉っぱ中心となんとも言えない色合いのウェッティな見た目の。

 そして粒状の実を潰してたんだけど目にくる。

 乾燥してる方には柑橘系の皮と木の皮を混ぜてて、ウェッティのは辛味のある粒々を粗めにつぶして混ぜてる。

 ウェッティ、と言うか噛みタバコ用は歯の裏、上顎にくっつけてしばらく舐めてって感じで楽しむらしい。

 東南アジアっぽいやつかね?試したことないけど。

 噛まないのに噛みタバコって言うのはふしぎだな


 俺はやっぱり煙を纏いたい。臭いって言われようがタバコ吸ってるって感じがある方が良いな。


「さて、これはあんたの分ね」

「ありがとう」

 出来立てのクサいただきました。

 常備薬の手伝い賃でタダでくれた。

「葉っぱはいるのかい?」

「欲しい」

 巻く用の葉っぱもいただきだ。気前が良い。


「こっちは子供達用に持ってきな」

 ミシェルたちの熱冷まし用と滋養強壮の激苦薬草セットを渡された。


「執事たちに渡しとく?」

「ちゃんと飲ませられるのはあんただけじゃないかね」

 と言うことで預かることに。

 薬草は使うときにすり潰してスープ状にするやつ。大人でもお断りな苦さだ。


「あんたのおかげで味がマシな飲ませ方がわかったからね。村の奴らも助かったよ」

 薄めて飲むだけだって。


 ほぼ半日ばぁさんと過ごして、解放されたら次はミシェルの食事の準備だ。


 ばぁさんちを出ると、おっさんたちがクサを求めてばぁさんちに走ってやってきたよ。

 

 離乳食寄りなご飯のレパートリーはそう無いので、芋とチーズと卵とで野菜や果物を混ぜる程度。

 飲み物もミルクに果物たっぷり入れたミックスジュースにした。果物についてはまたもびっくりされてしまったが沢山あるし、お取り寄せもするし、美味しいのが飲める方が良いんだ。うん。

 

 ミシェルは俺の前で飯を食い、「あぁい!!」「おいち」などと褒めてくれるまでの仲になれた。

 たまに木製スプーンが飛んできたり、手に付いたご飯をそのまま俺の顔をパチンと叩いてくる。

 俺の姉と妹に比べたらかなりマイルドだ。

 

 移動中に食べれる用にスコーンとクッキー生地だけ作って焼くのはケビンに任せてドットたちのところ戻ることにした。


 ミシェルたちの休む家を出てみれば夜だと言うのに外が明るいし、騒がしい。


「おー、やっと来たか」

 

 聞けば、明日出発と聞いて村の人たちが酒と食べ物を振る舞ってくれているらしい。


 もちろん護衛役である冒険者たちも自分たちで狩った肉や、採集した木の実を出している。


 休憩に寄る旅人はそれなりにいるけど何日も滞在することはほぼ無いらしい村なので、すっかり顔馴染みになった俺たちが出て行くのはちょっと寂しいらしい。


 薬のばぁさんも料理を一緒に作ったおば・・・ん、お姉さんたちもいる。


「寂しくなるねー。また通りかかったら寄って行きなよ」


 出発の前だと言うことで夜通しとはいかず数時間で宴会は終わった。


「あー、明日からはまた馬車だ」

「ちゃんと寝ておけよ」

 クレイバーがコシをトントンさせて、ドットは俺の肩を叩いて寝床に戻って行った。


 人影が遠くなったところで今日もらったタバコを試しに吸ってみた。


「う・・・」

 葉っぱに刻みタバコを巻いて火を付けて吸ってみれば、薬草の香りと香辛料の風味がちょょっとばかりキツめだ。

 作り手次第でそれぞれ味が違うらしいわけだが、ばぁさんのはかなり特殊な気がする。


 噛みタバコはもっとキツそうな香りがしてた。常用させないようにブレンドしてるのか?


 こっそりスキットルの酒も飲む。


 くぁー!なんか久しぶりに一息ついたような。

 風呂に入りてぇなぁ。温泉の素使って湯船でウトウトしたい。


 早く王都に到着して解放されたいな。




_________________



 すみません。難産でした。

 数日ページを開いたまま数行書く・・・保存忘れて数行消え・・・。


 ここ数話分はいつか書き直すかもですが、まずは村から出発です。


 真夏・・・と言うか台風気圧で毎年恒例の偏頭痛とか、色々で思考が安定しませんが、頭に中ではジェイルに何してもらいたいかが少し増えました。


 皆さま、いつも読んでくださってありがとうございます。お待たせしてごめんなさい。

 まだまだ暑い日が続いてますので皆さま体調にはお気をつけてお過ごしください。

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