モテ・・・てない

 姉さん、事件です。


 俺今モテてます。


 ・・・熟女たちに。


 俺の元の年齢だったら射程範囲なんだけどなぁ。


 

 まぁなんてことはない。女性たちは俺の料理が気になって集まってるだけ。


 ちょっと言ってみたかったんだ。高嶋政伸のセリフ。


 見た目判断で四十代から六十代のお姉さんたちが十人ほど集まって俺を囲んで料理をしている。


 もこみちやDAIGOになった気分だ。

 上沼恵美子もあり?


 ミシェルの復活待ちの数日間、シルスファンはドットたちおっさんどもと、俺はなぜか奥さんたちとの仲を深めている。


 あ、愛とか恋とかじゃないぜ?俺は浮気や不倫はノーサンキューだ。

 ん?そんなことをする度胸ないだろうって??余計なお世話だ。


 ぶっちゃけ、スキンケアも何もせず日焼けし放題、夫と共に畑やって家畜の世話してる働き者のオカンたちは令和のおば・・・んっ姉さんたちの十や二十は上に見えるよ。頑張った証だ。

 明るくておおらかでうちのばぁちゃんやオカンを思い出す素敵なお姉さんたちさ。

 

 ミシェルの薬を用意したばぁさんのところでこの辺りの自生の草を見せてもらったら、ハーブ類や生姜やニラ、ごぼうがあったのでスープにぶっ込んだり、超手抜き包子を作ってたら、こうなったのだ。


 まずごぼうの処理してたら、

「枝食うんか!?」

「おい、スープにそんなん入れるな!!もったいねぇ」

だの冒険者たちの悲鳴が上がったりしてさ。


 お前らの分じゃねぇとか思いつつ、じっくり煮込んでたらハーブもいい香りがして、薬のばぁさんや庭仕事してた奥さんが集まっちゃって。

 薬のばあさんが料理には当たり前に薬草を使うって言ってたので俺がハーブ類を入れるのは問題ないんだが、普段と違う香りがしているそうだ。


「パンの素をペラペラにしてどうするの??」

 包子の生地はピザ生地を使った。


 ちなみのここらのパンは大きい街でよくある堅い丸パンじゃなく、堅い平らに焼いたパン。丸パンより早く焼ける、仕事で忙しい主婦の知恵。

 乾パンよりは柔らかいけど、柔らか食パンの対極の堅さ。


 この世界で買った大麦粉?全粒粉を使ってるわけだが、この村より大きい街の品で少し精製度は良い物だからか高級品の粉を使ってるように思われて「勿体無い」「なんでこんな使い方を」みたいなことを言われちまった。


 この村で使う粉は要するに粗めなので素朴感がアップしてて好きだぞ。 石臼じゃなくて石に窪みを入れた土台で棒でゴリゴリして作った粉だ。


 結局大勢の分を作ることになってこの村の粉も分けてもらったんだが、俺的には逆に新しい味わいだ。全粒粉の包子。


 野菜だけでまとめるとドットたちが悲鳴を上げるので肉を混ぜた。

 ミンサーは出せないので自力で微塵切り。これは「なんでこんなことを」と言いながらもお姉さんたちが手伝ってくれた。

 めっちゃパワフル。うん。


「なんだかもったいないねぇ」

「でも新しい料理が出来るなら嬉しいわね」

 この村の料理にも、おやきもどきがあるそうなのでさほど珍しいものではないと思うんだが。

 

 と言っても使えるのは、岩塩や薬草スパイスくらいで味のバリエーションがないのでほんとにハーブ混ぜる程度の味変しかできないぞ。

 胡桃みたいなのは見つけたのでそれは砕いて入れてみた。


 仕上げに、蒸し器はないので大きな鍋に皿を入れて湯を沸かしたりしてたらお姉さんたちにじっくり見つめられた状態で、包んだばかりの包子を皿に並べ入れた。

 最後に鍋で蒸したらまた悲鳴が。


 パン生地を蒸すなんておかしいそうだ。

 

 いやだって肉まんとか食いたかったんだよ。


 寝る時間も誰か近くにいるから〈ルーム〉に帰れず、間食にネットショップのものを食えないんだよ。


 タバコもかなり気を使う。

 ちょっとトイレにって持ち場を離れた時にこっそり一本がやっとだ。

 人目につく場所ではこの世界の薬屋で買った刻みタバコを葉っぱで巻いたのを吸ってる。

 うっかりシガリロでも出したらランガたちみたいにおねだりされちゃうからな。

 

 そんな俺を見てドットたちは「ちったぁ学んだなぁ」って笑う。


 うるさいよ!


 そんな感じでミシェルの体調が落ち着くまでの日々が過ぎていった。


 シルスファンがちょっとヤンチャになってるんだけど、良いのかなぁ?



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