カジャルを出発
集合場所に着けばすでにラシャドル家の護衛、俺たち以外の冒険者が揃っていた。
結構な大所帯だ。
同行の冒険者には狐獣人とハーフエルフがいた。ファンタジーで嬉しい。男だったがな!
ドットが受け持ちの話で他の冒険者と話に行った。
「あんた美人なー。俺はケイン。斥候だ。見ての通りの狐族だよ。よろしくな」
狐耳というか狐そのものの顔に全身毛に覆われた二足歩行の細マッチョがめっちゃ人懐こく自己紹介をしてくれた。話すたびに動く耳と口元の髭が!
握手してくれたごつい手には肉球も。カチカチだったけどちょっと感動。
他の冒険者とも軽く挨拶した。侯爵家の依頼なので妙な人選では無さそうだ。
しばらくするとリューラス侯爵とシルスファン、ミシェルと従者たちがやって来た。
シルスファンとミシェルがめっちゃ着飾ってる。リューラス侯爵が張り切っちゃったんだろうなぁ。
旅装向きでは無いけど、貴族の見栄みたいなものかな。
シルスファンは俺たちを見つけると手を振ってくれた。顔色も良くなって体調が良さそうで何よりだ。
「皆のもの、ラシャドル家の宝を無事王都に送り届けてくれ」
そんなわけで昨日ドットたちに聞いた通りにシルスファンたちに馬車近くに配置されて出発だ。
カジャルから出るとと花畑街道が続き、しばらくすると牧草地っぽい中、整備ソコソコの道を進んでいく。
カナンを出たあとにくらべたら、振動がかなりマシになったなぁ。俺のケツ安心。
いや?ゲルマットは手放せないけど。うん。
荷物を積んだ幌馬車だからな。板張りの椅子に尾骶骨をガンガンされちゃうんだぞ。
休憩多めで進みつつ、牧場宿に泊まったり。
魔獣遭遇率も減って来た気がする。王都寄りになると安全確保がしっかりしてるんだな。
もちろん街道沿いを離れるとそれなりに居るので今までのように休憩時にちょっと狩りに行ったりも。
まぁ、なんだ。宿泊地でミシェルのご飯とおやつ作りに呼ばれたりもする。
ついでなのでシルスファンの分もおやつを作ったりも。なぜか執事や侍女の分もおねだりされる。駄賃も貰えるので良いんだけどな。
「毎日マメだな〜。美味そうな匂いさせやがって!」
ほっと一息でタバコ吸いつつ、ドットたちのところに戻って自分たちの分の食事を作ってると、同行の冒険者のオッサンたちが俺の食事や酒をタカリに来るんだけど!
ほとんどは酒や肉なんかをくれるから諦めて作ってる。
やっぱり野外で鉄板出したり鍋出したりが珍しくて気になるんだとか。
調味料は控えめにしてるのに「良い匂い」って、そこまでするかね?
「やっぱ出先じゃ乾パンか干し肉ですますからなぁ」
だって。
何ヶ月も籠るダンジョンでは流石に肉焼いたりくらいはするらしい。
何ヶ月も貧しい(失礼)食生活なんて耐えられない!!!
そしてやっぱり肉は焦がしてるらしい。
この世界の人間は不器用にも程があるよな。
「外で野菜食うってねぇよなぁ」
「そうだな。そこらへんの草食ってる気になる」
お前は飛んで○玉か。
「冒険者なりたてでやる依頼が薬草採取だろう?なんか草は食べたくねぇんだよな」
草と葉物野菜一緒にすんな。なら食うなし。
芋とかにんじんの根菜も草扱いか?
「薬草の数揃えたと思えば雑草で依頼失敗なんて最初はよくやったよなぁ」
ちゃんと調べてからやれ?っても確かにわかりにくい草はあるんだよなぁ。
〈鑑定〉持ってるからなんとかなるけど。
大葉もどきを肉に巻いたり、ネギマにしたらめっちゃ嫌な顔された。
食わなくて良いんだぞ!?
「食わんのか?ジェイルの使う草はうめぇぞ」
なんかドットが言うとヤバい草に聞こえる。タバコも草とかブツとか言うし。違いをつけて欲しい。
「「「食うって!!」」」
焼くだけだから自分の分は自分で焼けって言いたいところだが、コイツらほぼ焦がすからな。
及第点になって来た〈新月の雷光〉の四人には少し焼かせてみてるけど。
「スープくらいはよそえるよな?」
寸胴でも足りないくらい飲みやがるので追加が大変だ。
「できるできる」
「さすがにバカにしすぎだろうが」
ちなみに野菜切らせてみたら指切ったり、勢い余ってまな板がわりにした石割ったりした。
どんだけ。
だが昔妹が野菜切ろうとして包丁を落として、足の甲に刺さりかけたって記憶があるからな。
包丁に慣れてない人間怖い。
獲物は解体できるんだってよ?なんだろうな?
見てて怖い思いするなら自分でやったほうが早いんだ。
どうしても料理覚えたいってことなら教えないこともないんだが。
夜は警備担当以外はなんとなく集まって、軽く打ち上げみたいなノリになるので、シルスファンたちが起きたりしない程度に控えめに騒いでる。
ハーフエルフは何気に豪快だった。
肉は食うし酒も飲む。酔うと仲間内で殴り合う。
物語の中の神秘的なイメージが台無しだ。
まぁ、そんなこんなでゆっくりゆっくりと旅が続いた。
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