出発までもう少し

 夕食に顔を出すとみんな出来上がっていた。早くね?


「ジェイル~、おっっせぇって」

「今日はフロッグだってよ」

 メイン料理はカエルの蒸し焼きらしい。

 まんま出てこなければ、って具合には慣れた。さっぱり鶏肉と思えば案外美味い。

 味付けが単調で無ければと口には出せない。

 他の野菜と煮物はそれなりに。


 そして、エールが苦ぬるい。ちょっと酸っぱくなってるぞ。だが冷蔵庫もない世界。生産している近所でもなきゃこんなもんか。

 

「しっぶい顔してんな、お前の飯に比べたらダメだぞ」

 そこは理解してるし、自分で作る採算度外視な男料理は食べたいだけの遊び料理だ。



 食べながら、明日からの予定をドットから説明された。


 基本的には今までと同じで、冒険者パーティの顔ぶれが変わる程度。

 俺はミシェルの食事に呼ばれるだろうから、〈新月の雷光〉と共にシルスファンとミシェルの乗る馬車の後ろの荷馬車で護衛だ。


 次の村まで三日、夜間は牧場やなんかの宿に泊まる。きっちり泊まる時間を組むのでかなりペースは遅い。


 今夜はラストってことでドットたちはまたオネエチャンのお店に行くらしい。元気だな。


「お前も夢に過ぎずに適当なとこで手を打っておけよ。そんな対したもんじゃないって」

 うるさいよ。大したもんじゃないなら毎晩行かないだろうが!

 

 別に女に夢見てるわけじゃないって言うのに。女姉妹とか居たら夢なんか見ねぇって。

 ただ、ここまで来たら妥協したくないってだけ。もうやるやらないじゃないんだ。最初くらい自分好みの女が良いって思って何が悪い。


 部屋に戻って〈ルーム〉に直行。


 移動中に何もしなくていいように、ピザ生地やおかず、スープのストックを作る。

 肉や魚も切り分けて、焼くだけの状態にしておく。

 自分で食べるように唐揚げやフライを別で揚げた。

 飲み終わった分のスキットルの洗浄と酒の補充もしておく。


 ギャーギャー言われたくないのでオードブルセットをスマホでポチッとして神様に送っておいた。俺に作ったものがいいとか言われても何十人分はめんどくさいからな。


 しばらく長風呂できないので、変身を解除して。温泉の素を入れて入浴。 

「ふー、よっこいせ」

 浴槽を跨ぐだけで声が出るぜ。


 髪もトリートメントとかしたら目立つらしいので無香料シャンプーだけ。

 ららら、ハゲなーい。俺の毛量フッサフサー、毛根元気ー!

 抜け毛の心配がない今の身体、サイコー!!

 でもリ○ップが使いたいのはなぜだろうか。心配症?

 ボディシャンプーも無香料。

 ちょっとは匂い付けたいんだけどな。


 人目を気にしなくて良くなったら、いい匂いのヘアパックとかしちゃおうかな。

 オッさんの俺には必要なかったケアをするぞ。


 そーいや、姉貴が高校生の時、トリーメントは洗面器に一センチの水を入れて溶かして使うとかやってたけど、そのまま使ったらダメなのか?

 説明書きにはそんなこと書いてないのに。


 

 ふやけるほど湯に浸かってから風呂から出た。


「はぁー」


 パンイチ仁王立ちで冷蔵庫から出した缶ビールをさらに魔法で〈急冷〉して一気飲みだ。

 

 頭がキーン。


 チーズと生ハムとワインを用意してからソファにどかっと。


 クラッカーが欲しいと思ってポチッとな。


 何か変わったものがないかなと検索して、結局は酒を買う。

 なんて言うか好きな時に好きなものを食えないからさ。今買ってもなって気分になってきたよ

 タバコも好きに吸えないし、早く王都についてトンズラしたいものだ。


 そんなわけで飲みながら紙巻きを吸う。

 長風呂、料理のストック作りで、寝る時間はわずかになっちゃったけど、俺若いし?


 いやさぁ、これが若さと言うものかってくらい元気。

 若さっていうよりは、チートボディになってるからか。


 サプリやエネドリでドーピングしなくても元気っていいよなぁ。

 

 とはいえ、しばらくは雑魚寝か野宿なので睡眠大事。

 アラームかけて・・・。


 ・・・あいつら、宿の部屋覗きにきたりしないよな?

 でも荷物取りにきたりついでに俺見に来たりする可能性あるか?


 はぁ。

 しゃーない。宿のベッドで寝るか。


 ライダーポーズを取って〈変身〉してから部屋に戻って、枕の下にスマホを入れて寝た。


 


 出発の朝。

 どうやら誰も覗きに来なかった模様。

 

 荷物の確認と旅装に着替えて、武器もセット。俺ドンドン厨二な装備に。

 ゲームだったら廃課金アバターの如く。


 そんな俺も嫌いじゃない。うん。

 

 食堂に行くとすでに騒がしかった。

 

「おーす!」

「しっかり寝たか?」

 ドットたちがすでに食べ終える状況だった。


「わりぃな。腹が減って」

「(オネエチャンちで)食べてこなかったのか?」

 朝までコースなら一緒に食べてこいって感じ。


「疲れてるから寝かせておいた」

 モテ男の余裕か!

 いや、疲れ果てるまで致した自慢の方か!?


「不潔ー」

「なんでだよ。どこのお嬢ちゃんが言ってんだ」

 ガシッと俺の肩を組んできて、

「オネエチャンよりジェイドのメシが恋しくてよ。頼むな」

 女と飯食った方が幸福度が高いだろ。


「女は献身的で料理が美味いとか幻想みるなよ。メシ食いたきゃ外で食べれれば良いんだよ」

 今ここにオネエチャンがいたらフラれるぞ。


 しばらくバカ話、下ネタ遠聞きながら朝食をとった。


 そして時間になってみんなで集合場所に向かった。












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