教会に行ったり

 目覚めて、早い時間に教会に向かった。


 カジャルの街の信仰心は、旅と商売の神 アムジスと大地と多産の女神フォルティナだ。


 王都から、海や国境に移動する中間地点で、旅人が多く訪れ、自然が多く農地も広いことから、この地に住まう人にとって一番好ましい権能だな。


 昔の俺の考えでは、人にとって都合の良い神はいないと思ってたんだが、この世界の神々は、俺にも神々にもとても都合が良い関係と言えるので、この世界の人々にとっても良い存在なはず。直接言葉は交わせなくとも、神たちはいつも下界を観察しているんだから。


 まだ人がまばらな街の中を歩いてると屋台がちらほら。


「兄さん兄さん、うちのはうまいよー」

「綺麗なにいちゃん、こっちも見てってくれ」

 なぜか男の店員にしか声をかけられない。

 あ、俺が怪しすぎるからかも?かな?

 それともイケメンだからか!?

 自分で言ってると虚しくなるな。

 だが実際イケメンだしぃ?

 本来の俺の顔だったら絶対言わないことだ。


 何売ってるのかと思えば、木のコップに野菜スープとドロドロの白い酒粕汁かな?

 他にも肉串やソーセージとか昼夜とほぼ一緒。

 

 朝採り野菜の屋台もあったので買った。日本の野菜と違うから、いまだにちょっと困惑する。

 これはドットたちと食べる時用な。

 そこら辺で買える物で作る。


 テクテク歩を進めれば、小綺麗な教会に到着する。

 まだ新しいのかなぁ。


 祈ってる人がいたので邪魔にならないように隅っこに寄って祭壇に向かった。

 

 寄付用のテーブルにお供えが色々置いてあったので、ダンジョン産の果物とさっき買った野菜の一部、大麦粉入りの麻袋を置いて、寄付金を箱に入れた。


 祈っている人は高貴そうな夫人だ。貴族のお忍びかな。


 (俺は光るなよ、威光現すなよ)

と、神様たちに声掛けながら、神像に旅の安全を祈った。


『いつもお菓子やお酒をありがとう。君の旅が実りあるものになるように』


 聞き慣れない声が脳内に響く。


『ジェイルちゃん、美容品をありがとう。もっとくれても良いのよ♡』

 こっちは、変身とかメイクアップに遊び心を入れちゃう女神ーズの一人か。


 お取り寄せ品はまたあとで贈るから。


 今日は白い空間に呼ばれずに終わった。

 神様も暇神ばかりでは無いようだ。当たり前か。


 意識を切り替えれば、貴婦人はまだ祈っていた。

 そう言えば、神社でもたまにずっと祈ってる人いたな。何をそんなに・・・って思ったけど、祝詞をずっと唱えてるのが聞こえたこともあって、祈り方は人それぞれだと納得した。

 不思議な踊りを踊ってる人もいたなぁ。

 知らないだけで、能や日本舞踊とかの奉納だったのかも。普段着だったけど。


 音を立てたりして貴婦人の邪魔をしないようにそっと教会を出た。


 

 街中に戻って、酒屋に行った。地酒的なものは白ワインだった。一応、水代わりに買っておいた。

 ほぼ飲まないんだけど、持ってないとおかしいものは適当に買い足ししないとだ。


 宿に戻るとお疲れ顔のドットたちが食堂で食事を取っていた。


「お!朝帰りかぁ?」

「ついに!」

 どう見ても爛れた連中が俺にしょうもない揶揄いをしてくる。


「買い物と散歩だよ」

「真面目かよ」

 みんなそれぞれお楽しみだったようでよござんしたね。

 

「庭借りたから今夜は昨日の肉食おうぜ」

 ドレイクたちが宿の庭を指差す。

「・・・」

「下準備はしておくからさ!」

 シャートが何を用意するか分からないのがちょっと怖い。ただ料理しろって言われるよりは気分良くいられるけどな。



 了解って伝えてしばらく寝ると部屋に戻った。

 〈ルーム〉に入って早速タバコに火をつけて。


「ふー」


 酒とつまみはいるよなー。


 仕込みのいるものだけ、先にやっておこうと肉の切り分けとカニや魚も準備。

 あいつらといる分には食べたい(お高い)ものはあんまり我慢しない。

 多少は呆れた声は出るだろうけど、みんなで食べれば怖くない。うん。


 庭ってことで、旅の間とそう変わらないメニューだが、煮込み料理くらいは用意できる。

 ついでに数日分の作り置きもしようかな。


 子供たちも合流だから、一応柔らかいものを作ろう。ポテサラとかで良いかな。マヨネーズにハマると辛いか?ハーブ風味にするか。


 ポテトといえば、じゃがいものパイユとか芋ピザ、芋もちも良いな。

 芋料理は簡単で美味しいから好きだ。


 自分で食べる用はカレーパウダーもマヨネーズも使っちゃう。

 これはぼっち飯かルームで食べる時しか出せない。


 お魚はマリネと漬け丼。漬け丼はやっぱり自分用。


 色々やってたらあっという間に夕食の時間が迫ってたよ。





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