第14話 相談

「弥生さん!相談があるんですけど」


 俺は風紀委員会室の扉を勢いよく開いた。


「ねえ、もう少し静かに入ってきてくれない?話がしたいならそこ座りな」


 怪訝そうな顔はされたけれど、ソファーに座れと促された。


「聞いてくれるんですね。断られたらどうしようかと思いました」

「一応ね。君が僕のこと頼りに来るのなんて珍しいから。それで、なんの用?しょうもないことだったら追い払うから」

「弥生さんがどう思うかは分からないですけど俺にとっては緊急ですね」


 弥生さんにとってはしょうもないと思うことかもしれないから。

 

「ふーん?で、なに?」


 俺の向かい側に座り俺の目を見てくる。

 話を聞いてくれるようだ。


「最近織が俺のこと追ってくるんですけどどうしたらいいですか?というか、本当になんでか分からないけど興味持たれたみたいで困ってるんですよね」

「へえ、それで君は僕にどうしてほしいのさ」

「そうですね、織は自分でどうにかしようと思うんですけど......」

「けど?」


 今から言うことの方が弥生さんに相談したいこと。

 自分でやりたいと思っていたのだが、頼ってみてもいいかもしれないと考えた。


「俺の友人探してほしいんですよね。俺が最後に苦しい顔をさせてしまった俺の大切な友人。本当は自分で探したいと思ってたんです。でも、あなたのほうがきっとこの町について詳しいから。だから、お願いします」


 俺はきっと彼に会わなければ前に進めない。胸にあるつっかえているものは取れない。彼に、会わないと。会わないと、というのは建前であり俺がただ会いたいというだけだ。

 彼に会ったら伝えたいことがある。だから俺は弥生さんにお願いをする。頭を下げて願う。


「頼むまでもないよ」

「え?」


弥生さんのその言葉で俺は下げていた頭を上げた。

 

「どういうことですか?」

「だから探さなくても、もう見つかってるしどうせ明日には会えるから僕に頼む必要はないってこと」

「見つかってるし会える?」


弥生さんの言葉をすぐに理解できない。

 俺がずっと会いたいと思っていた彼がもう見つかっている?しかも......


「明日会えるってどういうことですか?」


俺はそれが気になって聞いた。


「そのままの意味だけど?まあ、明日まで待ってみなよ。僕はこれ以上のことは言わないから」


 これ以上詮索するなということか。

 弥生さんがそう言うのならこれ以上聞いたところで意味はない。


「なんか腑に落ちないですけど分かりましたよ。相談聞いてもらってありがとうございました。では、帰ります」


 風紀委員会室から出て家に帰ったが、明日ということが気になってなかなか寝られない俺なのであった。

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