第52話:いいかげん出発しろよって。
ってことで、ベンジャミンのワタリガラスの情報でパンが異世界に誘拐された
らしいと言うので悠生君たちは異世界へパンを救うため冒険に旅立つことになった。
「まずは向こうに着いたらで誰か一人助っ人を探しまひょう」
「でも一緒に行ってくれるかどうかは分かりませんけろね」
いくらベンジャミンの知り合いでも、なんのメリットもない旅に誰がついてくるんだってことです。
いくら親しいからってね。
ベンジャミンになにか考えでもあるんでしょうかね。
「ベンジャミン、仲間になってくれそうなやつをどうやって探すんだ?」
「適当れふ・・・」
「行き当たりばったりかよ」
「探しに行くだけ時間のロスでふひ・・・見つからなかったら時間の無駄れふ
からね?」
「そのへんに誰か知り合いとかいないのか?」
「心のつながりとか情だとか言っといて、当てにならないな?」
「たまにでふけろ、友情を裏切るやつもいまふよ」
「いつの時代でも、どこの世界でも、そう言うやつはいるもんれふ」
「さっき言ってたことと違うじゃないかよ」
「さっきは自信ありげに人生観を語ってたぞ」
「どんなものでも100%なんてことはないってことれふよ」
「お〜開き直ってるよ」
「ま、どっちにしても俺は向こうに知り合いはいないしな・・・」
「こっちにいたって誰かに助っ人頼んでも、まあ俺の言うことなんか誰も耳を貸さないと思うからな」
「たとえば大学の同級生で、この旅に同行してくれるやつをつのっても誰一人行ってくれるやつなんかいないからな」
「そでは健斗さんに人望がないかられふよ・・・」
「うるさいよ!!俺に人望がないんじゃなくて、あいつらが冷たいやつらばかり
なんだよ」
「ま、そういことにしときまひょ」
「人を動かすには時には泣き落とし、時には脅迫、時には袖の下・・・方法は
いろいろありまふよ」
「どうひてもダメならゼヌス様の命令だって言えば、誰か来てくれると思いま
ふけろ、ウソも法弁って言いますれひょ」
「こんなのは騙されるほうが悪いんれふから・・・」
「ベンジャミン案外、腹黒いんだな」
「なんかさ、さっき言ってたことと違ってきてないか?・・・不安になって
きたな、俺・・・」
「そういう可能性もあるって話れふ」
「一緒に来てもらう人によりまふ・・・なんとかなるんじゃないれふか?」
「俺も自分の人生で、なんとななるって思ったのは何回もあったな」
「結局そこなんだよな・・・結局なんとかなってきたし・・・」
「どっちみち俺ができそうなことって助っ人にカップラ麺でも作ってやること
くらいだな」
「あ〜それは大いに役にたつかもしれましぇんね」
「武器の代わりにカップ麺か・・・」
「カップ麺は剣よりも強し・・・」
「武器よりカップ麺のほうは効き目があるかもれふよ」
「万が一にも化け物に遭遇したらカップ麺食わせまひょう」
「あはは、面白うこと言うねベンジャミン」
「化け物がおとなしく人の言うことなんか聞かないと思うけど・・・」
「カップ麺なんか食う前のこっちが食われるんじゃないか?」
「そっちの確率のほうが高いと思うぞ」
「それに化け物なんかいないって言わなかったか?」
「一部の地域にはそういうのもいまふって言ったんれふ・・・なんせ神話の世界
れふからね」
「エマ様に逆らって化け物に変えられた女神様もいまふからね」
「深い森の奥には、そういう化け物が巣を作ってるってのが相場れふから・・・」
「人間界れもクマとかオオカミとかいるじゃないれふか」
「クマもオオカミも化け物じゃないけどな・・・クマとオオカミが聞いたら怒るぞ」
「つうかさ、人間界の動物はほとんど絶滅危惧種だぜ・・・」
「そういう生態を作った人間が一番の化け物だって俺は思うぜ?」
「とにかくカップ麺は持って行きまひょう」
「そうだな・・・でもロゼみたいにカップ麺食わせても効果のないやつもいたり
するからな・・・」
「そうだ・・・ロゼと言えば・・・」
「今回は俺個人のことだから吉岡は巻き込めないと思うけど・・・」
「誘ってみては?」
「誘っても絶対来ないと思うし、それに金にもならないことに吉岡が話に乗って
くるわけないよ、
あいつこそ私利私欲で動くやつだからな」
「俺はさ、吉岡なんか当てにしてないからな・・・来て欲しいのはむしろロゼの
ほうだよ」
「そうなんれふか? 」
「それはまたどうしてれふ?」
つづく。
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