第2話

「はっ、危なっ!」

こいつら以外と直線速度以外大したことないぞ、タイミングさえ合わせれば十分避けれる!といっても一発当たればお陀仏だろうけど…。

人間サイズの石像が高速で突進してくるとか怖すぎだろ!

「このままじゃあと何分保つか…」

以外と耐えれそうとはいえ、これじゃ中当てだ。挟み撃ちで別方向から何度も突進が来る。その上ボールは特大、スピードもかなりのものだ。

自分達がぶつからない様に同時に飛んでこないことが救いか。

これが3方向となった場合躱せる自信が無いな。

「自慢じゃないが!俺はっ、持久力に関してはっ学年最下位だぞっ、はっ、こんにゃろう!!」

瞬発力には自信あるけどな!

あいつら無事だろうな…、俺はそろそろ救助がないと死ぬぞマジで。

「ほっ、はっ、ん?」

いつの間にか体が宙に浮いていた。

マズイ、ミスったか?いや、石像は下に居る。いや待て見えないなんかすごい速度で上がってってる!!

ちょっ、なにこれ、鳥!?

上を見てみる。人の顔があった。下を見る。雲と自分の足しか見えない…。これ落ちたら死ぬな。

俺は動くのをやめた。

「多分ハーピィとかいうやつかなこれは」

人の顔した飛ぶ生物ってハーピィか竜くらいだろ。他にも居るかもだけど。

もうとことんファンタジーだなあ。これどこ向かってるんだろうか。まあ巣か。餌にされるのかもな。人の頭でどうやって食べるんだろうか。いやまあ人間でも人間食べられるか、カニバリズムっていうんだっけ…。まあ鳥の鉤爪で引き裂かれて血だけ吸われるのかもな…。さすがに1人で囮は無理があったかな…。まあ逃げても助からなかったかもだしな。しょうがないか。にしてもこんな傍にいるのに全然羽音がしないな?ハーピィってのはフクロウみたいな羽の構造をしてるんだろうか……いや、フクロウって飛び方で音消してるんだったっけ、覚えてないな。

「ああ、あの岩山かな、多分」

この高さだとあの山くらいにしか巣を作れないだろうしな。

…なんか横穴の多い山だな。全部自然にできたものか?人が掘ったものなら人里が近いかもしれないな。

「うまくいけば助かる可能性はありそうだ」

よし、予想通りこの山か。にしても高いな、こんなところに巣を造るのは大変だろうに…

「ん?」

肝心の巣が見つからないがどういうことだ?いや巣があるなんて誰も言ってないな。おかしくはないか。

「ゼテバヲエア?」

「!?」

お前喋るのかよ!何語だよそれ

「クヒオタネ?」

「え~っと…」

「?ロテタクタ」

ん?こっちを振り向きつつ進んでいるな、ついて来いってことか。

まあここはついて行く以外に選択肢がないからな。にしても随分知性が高いんだな、まさか言語能力を持つとは…、別世界なら言葉が違うのは当たり前だしな。だけど人とは違う独自の言語の可能性もあるからな…。まだこの世界の人間の言語が解らないとは限らない。というか解らないとこの先厳しいんだよな。

「コタ」

「ん?ああ成る程」

この岩山自体が巣…いや村なのか。あの横穴ぜんぶハーピィの出入り口ってことか。多分ハーピィ自身が掘ったんだろうな。

「ヤジメスンテカゼ」

「いやだから分かんないって」

なんとなく驚いてるようにも見えるけどハーピィの表情はわからん。というかほんとに顔は…というか人間に後から鳥要素を足したような姿だな。

羽は人間で言う腕の部分が変化しているようだ。肩から肘までの割合が人間よりも長いな。恐らく手を使って物を持つといった事は苦手だろう。

他にも胸周りと股間付近に羽根が集中している。性毛のようなものだろうか。服も着ていないのでこの羽根が無ければ大事な部分が丸見えだったな。

脚はホントに鳥の物だな。そんなに鳥の脚を観察したことは無いが。4本指で挟んで物を掴むことに特化しているんだろう。何故か知らないが恐竜を連想した。

「トヲィシノィタタ」

「えっ、ちょっ」

置いて行きやがった。こんなところに一人残して飛んでいきやがった。てか村下なんだけどどう降りればいいんだよ…

まあ食べられたりはしなさそうか?

一応安心しておこう。

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