第90話 ごむたいな

 ところで。

「お能登さまはここでどんな仕事をするんですか」

 お能登さまと仕事というと巻き物とかに書いてあるのでは。

「いや、詳細は到着次第に告げると」

 インターホンが鳴った。小包が届いたのだ。お能登さま宛に。開封すると巻き物が出てきた。巻き物を広げて読み進めるお能登さま。次第に肩はワナワナと小刻みに動き出し、顔も見る見るうちに赤くなっていった。

「志朗!」

 開いた巻き物を折ってテーブルに叩きつけると、

「あ、これから出かける。市内の一の宮にも挨拶に行かねばならない」

 それなら白山神社だったかな。さほど遠くないから俺が案内して差し上げられる。

「い、いきなりか。いや、志朗がそう言うなら。いや、それどころというか、そうではないというか」

 またしても落ち着きがなくなってきたが、巻き物にはいったい何が書かれていたのか。すでにお能登さまがすごい勢いと握力で握っていたからである。

「そ、そう! 仕事! ついてまいれ!」

 その仕事とは、「ツチノコを探して来て」。以上。それは絶対に見つからない気がするが、覚悟云々で悶々しているよりかは全然ましである。なんか無茶苦茶な状況が始まって、いや、もうとっくに始まっていて、俺はそこに足どころか全身くまなくどっぷり浸かることになって。そう、こういう時に時代劇ではこんなことを言っていたっけ。


 お能登さま、ごむたいな

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お能登さま、ごむたいな 金子よしふみ @fmy-knk_03_21

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