第72話 とりあえず入れてやった

「睡眠時間ほぼゼロですよ、ゼロ。これくらいで私の機嫌が」

 昨日の残りのローストチキンやシチューやケーキや、食わなかったアイスをフードプレッサー並みに頬張ると、トナカイは上機嫌になった。

「で、一年で最も長時間労働した後に何をしに来た」

「その前にワイン下さい。それとお茶」

 何本か買っておいた中から少し値のはったロゼを出してやった。瓶とワイングラスを出し、要求通りにお茶の準備。淹れて持って行ってやれば、すでにワインは半分がなくなっていた。

「お前、酒飲みに来ただけならこのまま放り出すからな」

 目の前にお茶を置くと、半分座った目で

「そんなに暇じゃないれす」

 クレームを言いやがった。その割にもう滑舌が怪しくなっているじゃないか。

「それならさぞかし御大層な用事なんでしょうね」

 わざとらしく言ったのが気に障ったのか、注いでいたワイングラスを空にしてから、瓶ごと残りを飲み干しやがった。

「はびゃさんがねえ」

 勢いよく腰を上げたと思ったら、そのままテーブルに落ちた。盛大にいびきまでかき始めた。俺は頭を掻いて、トナカイに出したお茶を飲んだ。それからトナカイを担いで客間まで運んだ。

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