第37話 雨の日
雨の日がメランコリックにさせるのは人も神も同じなのか。弁天さんがやたらに大人しく、お能登さまにちょっかいを出すどころか、お茶を淹れ始めた時には雨のせいで性格が柔和になったのではなく、弁天さんがこうなったから雨が止まないのではないかと窓外を見つめたくらいである。まさに天変地異。
ところで。お能登さまの目的は俺の知る限り全うされたはずで、なんなら今朝には発つなんて言いかねなかったのだが、お能登さまから出立の日時を告げられることはなく、いつもと変わらぬ、いやゲームのシナリオのようなタスクはもう終わったのでいつもと変わったがこれがまさに暇になったお能登さまのご様子だった。というわけですっかり自分を顧みる時間が出来てしまい、テレビを見ようか、本を読もうか、あるいは新鮮な魚でも買いに行こうかと取捨選択を迫られていたところ、ふと思いついてスマホを取り出した。というか、まっさきにすべきことだった。すなわち依頼人に連絡を取ることである。予想通り電話をかけても出なかった。そういう人である。言うだけ言っておいて俺から連絡入るタイミングさえお見通しで都合が悪いと誤魔化す、というか本人の都合云々というか今更になって「君が考えて判断しなさい」と押し付ける。それならそうだと言ってもらいたい。メールを送った。さてさてはたして何時間後に、あるいは何日後に明後日な内容の返信が来るやらとスマホを片づけて、数分後返信が来た。意外なことが立て続けに起こった。返信が長かったのだ。その文章を目で追っていく。自覚はなかったが目が見開いていたようで、読み終わってから目薬を点したくらいである。いてもたってもいられなくなり、自室へ。それから寝た。
「君が知りたいことがあるならば、その精霊や神獣や神と語らうといい。てっとり早いのは夢の中でなら防備なく交信できます」
そんなことが返信の一部に記されていたからである。
確かに白い蛇様とサシで語らえたのも夢だった。車を出すと言えばついてきかねない人物がいたし、そうなればサシともいかない。絶好の条件が寝ることだった。夢の中で、岩の精霊、しゃべる鳥と会った。そこで尋ねてみたもののある程度の情報は収集できたものの満足したとは言えなかった。だからあと一人聞かなければならない相手がいた。しかし、いくら待っても夢の中には現れなかった。
だからか、そのせいか目が覚めても疑問をさしはさむような間合いが見つからなかった。
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