ピンチはチャンス3

「よしそれじゃあ本題に入ろうか、みんなは攻め込むのと守りに徹するのどっちがいいと思う?」


 宗田は選択を二択に絞り俺達に迫ってきた。

 二択ね……絞ったって言ってもどっちがいいんだろうな?安全に勝ちたいなら守り切るほうだけど、数で負けてるのがなぁ……逆に攻めにしてもさっきと同じように奇襲できるのかなぁ

 俺が色々考え込んでいると隣にいる五色がゆっくりと手を挙げる。


「僕に良い作戦があるんだけど提案してもいいかな?これをやればほぼ確定で、旗を1旗取ることができると思うんだけど」


 五色は自信満々に俺の隣で喋りだした。

 どうやら余程の自信があるらしい。


「本当かい!!旗をあと1旗だけでも取ることができれば状況も変わるかもしれない!!教えてくれそれはどういう作戦なんだい?」


 五色の方に宗田が歩み寄る。

 うぉぉぉ……グイグイ来るな……

 ――そりゃあそうだよな旗をあと1旗だけでも取れるなら、戦況が一気に変わるっていうときにこの提案だもんな、宗田からしたら渡りに船だ。

 だが五色はそんな宗田とは違い、ちょっとだけバツの悪そうな顔をしている。


「えっとね、この作戦には少し欠点があってね……えーとなんて言ったらいいんだろうな……」


「なんだいもったいぶらずに言ってくれ!!できるだけカバーしよう」


 宗田は自分の胸をドンッと叩く。

 すると宗田の勢いに押されたのか、五色が観念して喋り始めた。


「分かった言うよ……この作戦は旗を1旗確定で取れる代わりに、作戦が失敗したら班がほぼ確定で1つ崩壊する可能性があるんだよね……」


 俺はその崩壊するという言葉に驚きを隠せなかった、他のみんなも動揺したようで全員が黙ってしまった。

 その作戦が失敗すればこの人数差を更に酷くする……か、なるほどハイリスク・ハイリターンの作戦ってわけね。

 俺がいろいろ考えていると、宗田が塞がっていた口を開いて喋り始めた。


「色々と考えてみた結果僕はこの作戦に賛成しようと思う、失敗すれば人数差が更にきつくなるのは苦しいとこだが、旗が確定で取れるなら安いというのが僕の結論だ」


 宗田は真剣な顔でこう言ってきた。

 まぁ俺も最初からこの作戦に賛成するつもりだったけど……それにこの作戦おもろそうだしな!!


「反論などがある人はいるかな?」


 手を挙げる奴はいなく、どうやらみんな同じ考えらしい。


「OKみんな賛成ってことで、五色くん詳しく作戦を教えてほしいんだが」


「分かった、絵に書いたほうが分かりやすいから前に出るね〜」


 五色はホワイトボードの前に立ったあと、ペンで相手の旗の位置を描き始める。

 あいつ何描いてんだろ?こっちから見た感じだと、何かの地図に見えるな。


「えっとまず相手の旗の位置は、この絵からわかるように僕らとほぼ平行線の位置にある」


「そしてこの1番左下にある旗が、さっき取ってきた旗なのはわかるよね?」


 五色が左下の旗のマークを青く塗りつぶした。


「そこでだ!!今回の作戦のスタートはまずさっき取ってきた旗から始めようと思う」


「この作戦の手順は全部で3つ、まず1つ目春川くんの心力アビリティでこの左下の旗にワープしてもらって偵察をしてほしいんだ」


 なるほど春川の心力アビリティ透明人間ステルスなら、ワープしたあと安全に偵察できるし何よりバレねぇってのはメリットだよな。


「次に2つ目、ここが作戦の一番大事なところそれは旗の防衛だ」


「この防衛は相手の旗をすべて奪うまで、時間を稼いでもらういちばん大切な役割を持つんだ、人数は多くて5人なんだけど誰かやってくれないかな?」


 なるほど、ここがさっき言ってた一班が崩壊する可能性がある所か。攻め込む班が長引けば、防衛する班は自分たちより人数の多い人狼が攻め込んできてゲームオーバーってことね。


「その防衛、俺にやらせてくれないか」


 手を上げたのは少し顔がひきつっている喜早だった。どうやら自分が今どんな状況に置かれていて、勝つのが難しいことを悟ったからだろう。


「俺の昇華ハイテンションなら長時間戦い続けてもスタミナが底を尽きることは多分ないし、ここにいる誰よりも成功率があると思う」


 まあ俺も直接見てるからわかるけど喜早の言い分は多分正しい、ここにいる誰よりも強いのは目に見えて明らかだし、喧嘩になったら一番強いのは喜早と春川だしな。

 すると喜早の隣りに座っていた春川がそっと手を挙げる。


「それなら僕も残る、僕も割と体力はある方だしいざとなったらもう一人と変わるよ」


「それに喜早くんの面倒をしっかり見とかないといけないし」


 まじか、春川って意外と喧嘩できたんだなぁ。それに喜早って馬鹿だから誰か残さないといけないってことはここにいる全員考えていたと思うし、春川が残ってくれるなら安心かな。


「おーけー2つ目の手順もオッケーだね、それじゃあ3つ目の手順は―――だ」


「なるほどな俺等にもそれなら十分に勝ち目があるな」


 俺は五色のその提案に賛成した、どうやら他の皆も賛成しているらしい。


「それじゃあこの作戦で行くけど、みんなはいいかな?」


 宗田がホワイトボードの前に出てくる。


「ああ大丈夫だぜ、俺等もその作戦に賛成だからな」


 喜早の言葉に俺と春川は頷く。


「分かった僕はこの作戦を他の班に伝えてくるよ、少しここで待っててくれ」


 宗田が俺等から少し離れて他の班に連絡を取る。

 ――その時だった。工場のドアがいきなり吹っ飛んだのは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る