ピンチはチャンス2
「あいつの場合バグが起きたのは脳だ。あいつはそのせいで、能力を使うたびに性格が豹変してしまう体になっちまった……簡単に言えば呪いみてぇなもんだよ……」
喜早は少し顔をしかめながら言った。
どうやら喜早にとっても、あまりいい思い出がないらしい。
だが、春川があのまんまじゃ俺等もやりにくいんだが……
「なるほど、春川が急に豹変してしまった理由は良く分かった、それで春川はどうやったら戻るんだ?」
「ああそれならもうすぐで戻ると思うけど……」
喜早が向いている方に視線を向けると、そこには眠っている春川がいた。
すると”ガサッ”
という音とともに春川が起き上がってくる。
「え?これどういう状況?」
春川は少し混乱した口ぶりで言った。
だが俺等の表情やこの状況から察したらしく、『あぁまたやっちゃったんだね僕……』と言いながら、少し申し訳無さそうな顔をしている。
「これで春川の性格が変わってしまった理由については話したけど、他に聞きたいことはある?」
「いや大丈夫だ、次はこのあとどうするかだな……」
とりあえず俺は、この状況にいったん区切りをつけ次にどうするか話し合うことにした。
とは言ったもののやっぱりこの後は、1回守りに徹する方がいいのかな、いやここは旗をもう一旗取るために攻め込みに行ったほうが……いややっぱり安牌を取りに行くべきか……うーん俺こういうの向いてないんだよな……
「これからどうしよう?なんか案ある人いる?」
俺はとりあえず自分だけじゃ何も思いつかなかったので、喜早や五色に聞くが他の奴らも案はないらしい。
いや俺達だけじゃあ何の案も浮かばねぇな………
この状況を打破するために色々考えているときだった。
――”ガサッ”という音とともに、宗田が頭を抑えながらゆっくりと起き上がってくる。
「宗田!!大丈夫か?」
まだ起きたばかりの宗田に皆が群がっていく。
「あぁ大丈夫だ、ここはあくまでゲームの世界だからかな、怪我などはないよただ少し頭が痛いけどね」
そう言って宗田がゆっくりと頭をさする。
俺はそんな宗田にとりあえず今の状況を一通り伝える。
「なるほどね。そして今はこれからどうすればいいか分からない――か、大体状況は掴めたよ」
おぉさすが宗田、今の状況を俺の雑な説明だけで理解しやがった、やっぱ頼りになるな。
だが当人はあまり浮かない顔をしていた。
俺はとりあえず宗田から、指示が飛ぶのを黙って待とうとしたときだった。
不意に宗田が口を開いた。
「だけど実は僕からも1つみんなに伝えなきゃいけないことがあるんだ」
宗田が少し焦った顔で俺達の前に出てきた。
「おい何だよ急に、そんなやばいことなのか?」
喜早が少し引きつった声で聞いた。
「あぁもしかしたらこのままだと、第1ゲームは取られるかもしれないな」
宗田は顎に手を当てながら聞いてきた。
――こっから巻き返されるってのか?そんな事ありえないだろ。
「おいおい何いってんだ俺等は旗を1つ取ったっていうアドバンテージがあるんだぜ、そんな簡単に巻き返されねーだろ」
俺は反論する。
が、宗田の意見が変わることはなかった。
「いやそれがあり得るかもしれないんだ、みんな落ち着いて聞いてほしいんだけど……」
「何だよもったいぶらずに早く言えよ」
喜早が宗田を急かす。
すると宗田が、やっと重い口を動かし始めた。
「実は……僕達以外の班が僕達合わせて残り3班となったらしい、すまない僕が気絶なんてしていたからだ……」
そう言って宗田が伝えられなかったことに対して謝罪をしてきた。
――なるほどね……おいおい急に風向き変わってきやがったな……
こりゃあまじでやばい展開だな。
すると呑気な声で1人の男がこの緊迫した状況をぶち壊してきた。
「え、それってどうやべーの旗を取ってるのには変わりないんだろ?じゃあ大丈夫じゃねーか」
――喜早である。どうやら宗田の話を聞いてヤバさを理解してないらしい。
こいつ何いってんだ?脳みそまで筋肉なのか?
ぶん殴ってやりてーその呑気な顔?ま、やり返されるのが怖いからやらないんだけどね……
するとその後ろから俺の気持ちを代弁するように、春川が急に喜早に拳骨を食らわした。
”ドゴッ”
「いっっってえええええええええ!!!!何すんだよ春川!!」
うへー痛そ……
――頭にたんこぶできてんじゃん。でもありがと!!
俺は心のなかで叫んだ。
「喜早くんが馬鹿なこと言ってるからだよ……」
春川が頭を抱えたあと喜早と一緒に謝ってくる。
「分かったまずこの状況がどうやばいのか説明させてもらおう」
あまり理解できてない喜早に、宗田が詳しく説明し始めた。
――だが言葉だけではあまり理解できない喜早のために、宗田がホワイトボードにゾウの絵を書き始める。
「まずこのゾウを僕達市民チームだとしようか、それじゃあ喜早くんに質問。例えば人狼側がライオン一匹の場合、僕達ゾウに勝つことができると思うかい?」
「んーー、できないと思うゾウのほうが力が強そうだし」
首を傾げながら喜早が答えを出す。
「じゃあもしライオン側が50匹いたとしたらどうなる?」
「それは流石に負けると思う……ん?もしかしてこの状況ってそれと同じ?」
ようやく喜早はことの重大さに気づいたらしく、慌てふためいている。
「え、え、どうすんの!!やばいよ!!」
「大丈夫だ。それを今からどうするのかを考えようとしていたところだから」
そう言って宗田が喜早をなだめる。
まぁしょうがないな、俺も実際は最初の方焦ってたし。
すると宗田がまた俺等の前に立って話始めた。
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