金がすべての学園
磁界緋呂斗
「全くさっさと起きろよな。五色のせいで食堂が閉まっちまうぞ?」
俺は昨日部屋に置かれていた制服に着替えながら五色に話しかける。
「んぇ?何?」
五色はまだまだ寝起きで頭が回らないのか気の抜けた返事をする。
これから生徒会長の話を聞きに行くっていうのに大丈夫か?話聞いてる間に寝たりしないよな……?
「とりあえず着替え終わったら食堂行くぞ」
「はぁ〜い」
俺等はとりあえず制服に着替えたあと、寮に備え付けられている食堂へと向かった。
食堂へと着くと、生徒たちの賑やかな声とうまそうな匂いが俺等を迎えた。
うぉ、思ってたよりデケェ……
人混みがすごくて迷っちまいそうだな……気をつけねぇと。
「それにしてもすごい人だね、そんなにこの食堂うまいのかな?」
「そりゃあそうだろ、先輩とかもいるんだし。だから勝手な行動はやめとけよ、はぐれられたら困るからな」
俺は今にも走り出していきそうな五色に注意する。
「へーい」
不服そうな顔をしながら五色は返事をする。
「とりあえず席とりに行こうぜ、満席だったら朝ご飯もろくに食えやしない」
「それもそっか」
五色はぽんっと手で相槌を打ち、俺の意見に賛同する。
俺等は人混みの中に押し入り、自分たちの席を探しに行く。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ねぇーーまだ見つかんないの〜〜?」
「しょーがねーだろ、人が多いんだから!!」
俺等が席を探し始めてから5分が経った頃、五色が”お腹が空いた”と文句を言い始めた。
まぁそれもそうか、先輩たちは今日も普通に学園での活動があるはずだし、一年生は今日は実質自由時間みてーなもんだ。よくよく考えりゃあ寝坊気味の俺等が座れる席なんてあるはずがなかったわ……
「まぁ予想はしてたけどやっぱり席なんて空いてないね、全くどうしてこうなったんだろう?」
お前のせいだろうが……と突っ込みたくなったが、こんな大勢がいる場所で俺に大声を出せる胆力なんてあるはずがなかった。
大勢の目線が一斉にこっちに向けられると想像しただけで、体が震えてきたぜ……
「まぁうだうだ言ってても埒が明かない。こうなったら朝ご飯抜きで、生徒会長の話聞きに行くしかねーかもな……」
俺は空腹に耐えかねているお腹を抑えながら言った。
五色も同じように空腹に耐えるようにその場にうずくまってしまった。
「もう……無理……腹へって……動け……ない」
「そうは言っても、席がないんじゃ――」
「あの、相席でもいいなら一緒に食べません?」
俺等が空腹に負けそうになったその時だった。
不意に後ろから声がした。
後ろを振り返ってみると、そこには今しがたうまそうな牛丼を食べている男が座っていた。
「えっと……?」
突然の戸惑いに俺は脳の活動が停止する。
あれっ今この人なんて言った?
一緒に食べませんかって言ってくれたのか?
昼飯も食えなくなった俺等負け犬に?
つーことはこの誘いに乗ってもいいってことなのか?
いやいや初対面の人に急にそんな事言われるわけ無いだろ、俺の聞き間違いだ。
「あのーー良かったら一緒にご飯を食べませんか?」
俺の考えが見通されたかのように、そいつはもう一度俺に言ってきた。
「え?本当にいいんですか?俺達初対面ですよね?」
あれこの人俺何処かで会ったことあったっけ?
まぁでも知り合いじゃないとこんなこと普通に言ってこないもんな?
まいったな……俺覚えてないことはとことん覚えてないからな……
「はい、全く知らない赤の他人ですね」
「へ?知り合いでもなんでも無いってことですか?」
「まぁそうなりますね。あなた達困ってそうだったんで、もしかして迷惑でしたかね?」
「いや、全然そんなことはないんですけど……」
普通初対面の人にそこまでしてくれるか普通?
ただの優しい人か、それともなんか企んでいるのか……?
うーん……まぁなんでもいいか……せっかくのチャンスだここはお言葉に甘えるとしよう。
「じゃあお言葉に甘えて隣失礼させてもらいます」
「どうぞどうぞ」
俺は男の隣にゆっくりと座った。
それと同時に五色は食事を取りに、売店へと走っていった。
「あ、そういえば自己紹介してませんでしたね。僕の名前は
そう言って磁界緋呂斗は生徒証を俺の目の前に出してきた。
磁界緋呂斗……一年生、同い年か。
「俺は鰯田志向、よろしく。それで今飯を貰いに行ったのは五色零だ」
「よろしく。それで君たちはどこに行こうとしてたの?なんか焦ってたみたいだけど」
「あーーそれね……今日さ、会長のスピーチがあるだろ?俺と五色はそれに今日行くつもりでな」
「あーあの興味がない人は来なくていいですみたいなのが書いてたやつですか?」
「それそれ。だけどなどっかの誰かさんが寝坊したせいで、出発時間が予定よりだいぶ遅れてな今すぐにでも飯を食えなきゃ、飯を食う時間がなくなっちまうって焦ってたのさ。席を開けてくれたことまじで感謝してるぜ」
俺がそう言うと磁界は照れくさそうにしながら俺にこう言ってきた。
「いやーなんというか、困っている人がいたら助けるっていうのが僕のモットーなんですよね。へへ」
なんだ。そういう理由だったのか。俺はてっきり裏があるもんだと考えてたけど、なんだか申し訳なくなってきたな……
「へーーそりゃあいい心がけだな。誰かから習ったりしたのか?」
「まぁはい、そんなところですね」
やべっ、磁界の顔がうっすら曇った、なんかまずいことでも聞いたかな……
とにかく話題を変えねーと!!
「あ、えーとそうだ!!今日磁界は何をする予定だったんだ?」
「緋呂斗でいいですよ。もう僕ら友達じゃないですか」
うぉ陽キャがよく使う言葉トップ10に入りそうな発言だ!!初めて言われた!!
やべぇ友だちができたことに嬉しすぎて、口角が上がっちまう。
「あぁそう?じゃあ緋呂斗は今日何をする予定だったんだ?」
「えーとまぁ言いにくいんですけど、僕も今日生徒会長の話を聞きに行こうとしてたんですよね」
「あ、じゃあ一緒に俺等と生徒会長の話聞きに行くか?別に増えて困ることなんてねーし」
「いいんですか!!ありがとうございます!!一人だと不安だったんですよね……」
「あぁいいよいいよ」
まぁそうなったらそうなったで、俺等がご飯を食うの待ってもらうしかないんだけどね……ハハ
「じゃあ俺もなるべく早く行けるように飯持ってくるよ」
そう言って俺は席から立ち上がり、五色が走っていった方に向かった。
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