金がすべての学園

 〜50分後〜


 俺等は食堂を抜け講堂へと向かっていた。


「へーなるほどね。ひろっちも生徒会長の話聞きに行くつもりだったんだ」


 ひろっち……?昨日から思ってたけど、こいつナチュラルに人のことをあだ名で呼ぶクセがあるよな……

 ほら見ろ、急に変な名前で呼ばれたせいで緋呂斗も困惑しちまってんじゃねーか……


「まぁはい、そんなところです。でも一人で行くのは怖かったんで一緒に行けて良かったです」


「おいおい二人共そうやって雑談もいいけどよ……着いたぜ講堂」


 俺は二人の話を遮るように講堂への到着を告げた。

 二人は雑談をやめ、静かな講堂の中へと向かっていった。


「うわっ相変わらずこの道真っ暗だね、足引っかからないようにしないと」


 五色はそう言ってスマホの明かりを使って足元を照らした。

 俺等の周りを他の生徒達が通り過ぎてゆく。


 俺もスマホの明かりつけて自分の足元照らしとこ。


「あ!!つきましたよ!!講堂!!」


 うぉっ!!まぶし!!

 暗いところを進んできたから急な光に目がいかれるな。


「あれ?でも昨日より人数少なくないですか?」


 不思議そうに緋呂斗が呟いた。


 確かに緋呂斗が言うように昨日よりかは明らかに人数が少ない気がするな。

 まぁ理由は大体察しが付くけどな。


「そりゃあそうだろ。昨日急にこの学園に連れてこられて、今日すぐに集まってくださいだ。警戒しないほうが無理なんじゃねーかな」


「あーー確かにそうっすね。盲点でした……普通警戒しますよね」


 その時だった。

 壇上に人が煙とともに現れた。


「な……なんだ!!」


 講堂内はざわめきと不安で溢れかえっていく。

 だがそれらの不安感は壇上から発せられる音と共にかき消された。


「うるせーぞ、新入生ども。これから人が喋るんだ、さっさと黙れ」


 壇上の上には普通の学校だったら、不良認定されるようなガラの悪い見た目の男が突っ立っていた。

 見た目は金髪でピアスを付けている。


 なんつー威圧感だよ……金髪も相まってなおさら圧がある……


「ちょっとやりすぎだよ、蛇山くん。みんな固まってるじゃん」


 あ、昨日の生徒会長だ。

 金髪の野郎と違ってほんわかとしていてマジで優しそうな人だな。


「ウッウン!!どうも生徒会長です。新入生のみんなを怖がらせちゃってごめんねーー。まぁでもああ見えて意外と彼優しんだよ、僕に毎日お茶持ってきてくれたり色々やってくれてさ――ってこんな話じゃなかったね」


「えっと今日話す予定だったのは、大体3つくらい。この学園についてとまぁこれからのことだね」


 そう言って会長は紙を一つ取り出した。


「えーとまずこの学園がある場所についてだね。この学園は人工島の上にある学園です。まぁ大きさはだいたい県1個分より小さいくらいかな」


 は?県1個分?そりゃあ心力っていう超人的な能力が人類に開花してから、みるみる文明は発展していったとは小学校で習ったけどさ……まさかそんなでかい人工島を作れるまでに発展していたとはな……


「まぁ驚くのも無理はないよだって人工島を作るなんて心力という超人的な能力がないとはいえ100年前の人類でさえ無理だったんだ。たった100年で地球にダメージを与えずに人工島を作るなんて昔の人達は思ってもいなかっただろうね」


 そりゃあそうだろ!!現代人の俺等でも驚くわ!!

 だって心力が全面的に許可され始めたのが今から50年前のことだ。心力というものが発現したての頃は色々と問題が多かったらしいからな。まぁ色々と想像はつくけど……


「とまぁこの学園の立地については以上かな。えーと次は君たちがなぜこの学園に強制的につれてこられたかだね。まぁみんな正直これが一番聞きたいんじゃないの?で、その理由なんだけど……この学園国家機密なんだよね……」


 は……は?いや、は?国家機密?

 おいおいどういうことだ、いきなり話が飛躍しすぎてんだろ?

 ほら周りを見ても理解できてそうなやつ一人もいねーじゃねーか!!


「あ、あれ?突然のこと過ぎて理解できてないっぽいね!!え、えーと詳しく話すと、この学園はが作られる予定だったこの人工島にはもともと軍の基地が作られる予定だったんだ。理由は単純、他の国より軍事力を増やしたかったんだろうね、よくある話だよ」


 それがこの学園ができる理由と何が関係あるんだ?今のところなんにも関係ないように思えるけど……


「まぁそれでなんで基地がなくなったかなんだけど、簡単に言えば軍事力が要らなくなった、いや軍そのものが要らなくなったのほうが正しいかな」


 要らなくなった……?軍事力が要らなくなるなんてあるのか?


「理由は色々とあるんだけど端折って言うと、今この世界で軍事力の代わりに動いているのは僕達若者なんだ。分かりやすく言えば国で選ばれた若者が自分の国をかけて、他の国の奴らと戦う。戦争をするにもね。なんでそうなったかは、僕だってよく知らないしなんで僕達を使うのかもよくわからない」


 おいおい情報量がやばすぎんだろ……初めて聞くことばっかだぞ……ていうかなんで戦争するのに若者が必要なんだよ。ん?若者?え?じゃあもしかしてこの学園ができた理由って……


「そう今の話で察した人もいるかも知れないけど、この学園ができた理由、それは次世代の軍事力若者を鍛える施設を作るため。世の中にこの学園の情報が出てないのもそのため、そしてこの情報は君たちの親族に伝達済みだ。分かってくれた?君たちはこの学園の生徒として入学を果たした時点で国に仕えるコマとしての将来が決定したってわけ」


 生徒会長の冷たくはっきりとした事実が講堂の中を包みこんだ。

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