第48話この支援、対価高すぎにつき危険


山岳地区の問題点


・素材の運搬にお金がかかる為、冒険者は山岳地区のギルド支部で素材を換金せず、麓の商業地区のギルド支部で換金するためギルドからの税が見込めない事。


・ウォード候補生の話と山岳地区の税収を照らし合わせると輸送費の数倍以上ではすまない差があった事。


・スカーレット辺境伯は抱えの冒険者に山岳地区の税の取り立てをさせている為、税の割合がおかしい事を指摘しても責任逃れされてしまう事。


・現時点で世間的には怪しまれていない為強引な調査が出来ない事。


・2年前から配属された騎士が馬を導入し牧草費が途方もなくかかっていること。それまでは山岳の防衛隊は馬を使った記録が無い。現地の狩人と連携していた記録がある為、雪おおかみに飛竜を追わせていたのだろう。


・冬に支援が必要になるが僕の支度金は冬から半分に減らされる(半分は税収から補うことになっている)為下手をすると自分の方も王族としての体裁を保てなくなる事




父上からもらった資料とウォード候補生の話を元に問題点を書き出す。


「………問題しかない」


スカーレット辺境伯がもっと派手に決定的な事をしていれば罪を問うことが出来たがそれも出来ない。


「体裁を考えずに父上に資金の援助を頼むか……」


領地を治める能力無しと見られても仕方ないが話を聞く限りあの土地が冬を越すのは厳しくなるだろう。



「失礼します。ただいま戻りました」

考えていると用事を済ませてきたジャックが戻ってくる。


ジャックにはこの前に話していた視察の事を調べさせていた。


「どうだった?」


「リズリー公爵家の兵隊の貸し出しとエイデン・スカル殿の協力でスカル公爵家の私兵を貸してもらえる提案を受けました。2つを併せれば不足は無いかと」



これで視察に行ける可能性が出来た。回復魔法もポーションを使わずに出来るようになり、怪我を治す方も上達した。この2つでもう一度、父上に許可をもらいに行こう。早めに山岳地区で収入を得る方法を作らなければ。



護衛の交代で来たエイデン殿にお礼を言うと思いもしなかった提案を受けた。


「私の息子がそろそろ近衞騎士の推薦を受けられそうなのです。殿下の近衞騎士としていかがでしょう?」


とても気が進まない。まだ僕が王女と認識されていた時に会ったことがあるのだがとても、とても酷かった。あっちも気まずいだろう。


「……」


僕の反応を見たエイデン殿が苦笑する。


「やはり気が進まないですか…」


「エイデン殿のご子息も多分気まずいんじゃないだろうか…?」


「気まずいだろうとは思いますが幼い頃のあやまちぐらい己で乗り越えて貰わねば困ります。殿下がお許しくださっているのであれば声を掛けてくださるとありがたいのですが」


「そうだな……。近衞騎士の件は信頼が築けてから頼みたいが声をかけるくらいなら」

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