第5話 緊急事態
法律に詳しい人には大したことでは無いのかも知れないが、個人的には緊急事態だと強く感じた事案が発生した。
事の始まりは書籍化作業が終わりを迎える頃だった。
担当者と原稿を何度も行き来して、その作業も終わりが見えて余裕ができて来ると、思わずペンネーム【黄昏】で検索をかけた。
商業化もしていないweb作家が検索に掛かるはずもなく、出てくるものは黄昏時に関連した物と、どこかのアーティストがリリースした曲タイトルが【黄昏】と付く物ばかりだった。
どこぞのスパイ家族のコードネームとかも検索上位にかからないし、大丈夫かと思っていたが……
何となく商標登録まで確認した!
一応書籍になる訳だし、何かあったら困ると思って。
有名な話しだと某ロックバンドが、シャンパーニュ地方の原産地名称と似た名前でデビューしたら、日本でも保護されていると改名を求められた事を思い出し、すぐさま担当者にメールを送り連絡を取った。
なんせ、ウイスキーが【黄昏】という銘柄で登録・販売されていたからね!
マヂか?!
と思いつつも、商業化される書籍に黄昏というペンネームを表記して構わないのか不安になった。
個人で企業と法的に戦うと考えると、背筋が凍る思いになる。
担当者からの返答は、確認を取るから返事待ちとなっていたし……不安だ。
出版社内で協議したのか、改めて返信された答えは。
登録商標とは、<言葉や図形(標章)+標章を使用する対象の商品やサービス>の組み合わせで登録されたもので、<「黄昏」という言葉+お酒(ウィスキー)という商品>に対して、ペンネームで使用する分には商標権の侵害には当たらないと回答を得た。
問題無くペンネームとして【黄昏】を使用できるとの事で、ホッと胸を撫で下ろした。
商業化を目指す皆さんも、ペンネームは良く考えましょう!
web小説投稿者が書籍化を迎えるまで 黄昏 @T-T----
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