第3話 web会議

 一度目のweb会議の日が訪れ、緊張しつつも十分前にはヘッドセットをセットし、五分前にはweb会議にログインする。


 予定時間となりweb会議の画面には、担当者とその上司?の顔が映るが、こちらの画面はオフにしてある。


 ふふふ、恥ずかしがり屋さんなのです。


 いや、顔合わせは必要かもしれないが、初対面の人に自室を見せたいと思いますか?

 会社の同僚でも、なかなか自宅、自室には招かないでしょ?

 ましてや初対面だからこそ、そこは遠慮して欲しかった。


 もちろんweb会議でカメラをオフにすることは、事前に許可を取っています。



 事前に送られて来た企画書に基づき会議はスムーズに進行したが、議題がテーマに移って困った。


 なぜなら、一章のプロットなんてメモ帳に三行程度しか書いていないし、書籍化するとは思いもよらず、何事も練習だと思っていろんな要素を盛り込んで自由気ままに書いていた。


 いうなれば、主人公がやりたい放題に暴れまくっている作品で、テーマといえるようなまとまりが無い。


 結果、編集が上げたテーマはこれか? という物の中から「これとこれかな~?」と自信無げに答えるのであった。



 しくじりポイントだね。



 売れるかはともかく【きちんとテーマを立てて作品を作りましょう】というのは強く言いたい!

 いや、他の皆さんはしっかりと決めて作品作りをしていますよね。愚問でした。


 そんな慌てふためきながら参加していたものだから、聞きたい事もしっかりと聞けず、あらかじめメモ帳に質問をまとめて立ち上げておいたのだが、そのメモ帳すら見るのを忘れて会議を終えていた。



 辛うじてweb版の継続は可能かだけは回答を得た。がんばった。





 一度目の会議を経て、二週間後に二度目のweb会議が始まる。

 主な目的は収録範囲の決定だろう。

 書籍化するにあたって、区切りの良い所までの収録となる。

 しかし、ページ数が一定範囲に定められており、ちょうど良いところが無いと、加筆するか圧縮するかの二択を迫られる。


 結果は書籍で確認していただくとして、書籍化へ向けての具体的な話し合いが進められた。



 そこからweb投稿と書籍化作業が並行して始まる。


web投稿は横書きだが、書籍化するには縦書きの文書に直さなくてはならない。



 翌日、またもや大慌てで家電量販店に駆け込み、出版社が推奨する縦書きに対応した文書ソフトを買い求めた。

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