外伝・とびっきりの英雄様



「もう、君は一人じゃないよ。ごめんな。もっと・・・もっと早く気が付いてあげられなくて」


 彼女の人生は不幸と絶望に溢れていた。

 全てを奪われ全てを失い一人孤独に生き続けた彼女の人生。

 人体実験され地獄の苦しみの中で全てを諦めていたあの日、彼女にとっての英雄が助けに来てくれた。


「あ、な、たは」

 人体実験の影響で思うように声が出ず、かすれかすれとなる。


「僕の名前は天神 喰臥。ダンジョン連合の創設者であり現会長。世界最強の覚醒者だよ。

 だからこの場は任せて、今はゆっくり眠りなさい。

 起きたら全てが終わってるから」


 そして彼女は久方ぶりの安眠をした。









 数多の国にて覚醒者を使った人体実験が行われていた。

 もし科学的に覚醒者に至るメカニズムが解明されれば人為的な覚醒者の創造といった莫大な利益となるのはもちろんのこと、覚醒者の能力向上や能力低下方法の確認。

 メカニズム解明といかなくても普通の人間とどのように違うのか、弱点は同じなのか毒は効くのかなど調べたいところは無数にあった。

 だからこそ力無き覚醒者達が人体実験されるのはある種当たり前であった。

 

 そして、ダンジョン連合は人体実験が行われることは半ば容認していた。

 もちろん天神としては人体実験などという非道な行為は辞めさせるべきではあると思ってはいた。

 ただ、無理に介入した場合の国際関係悪化のリスクや、人体実験とされてる覚醒者達の半数以上が犯罪者であるという点、もし仮に人体実験の結果として有益な情報が出ればダンジョン連合の利益にもなる点。

 その他、様々な政治的な問題を考慮して介入をせずにいた。


 その結果、未来で暴食の神覚者・ベルゼブブが生まれ世界の99%以上が崩壊した。

 天神はその未来を変える為に記憶を過去へと送り、全ての人体実験を止める為に行動をした。

 

 ある意味で手遅れであるが、この行動によって未来は変わり、世界崩壊は食い止められるのだった。

 

 めでたしめでたし。


 その後、未来の知識を活かして天神はいずれ神覚者へと至る上野泰斗や氷冷マリルスをスカウトし、ダンジョン連合をより盤石のものとするのだった。


――――――――――――――――――


 因みに天神の未来を見る力は決して万能ではなく、神覚者が絡むと普通に見えない未来もありますし、全てを見通すのではなくあくまで見たいと思った人物の未来だけ、遠い国の人物の未来を見るとかは基本無理です。

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