外伝・天神は一目惚れする
天神 喰臥は世界を平和に導いた。
天神 喰臥は世界で最も権力を力を持ったダンジョン連合の創設者であった。
天神 喰臥は一人で世界すらも滅ぼせる神覚者の一人であった。
天神 喰臥は神に愛される所か神にすら至る最強であった。
天神 喰臥は世界の英雄であった。
天神 喰臥は数多の人間を救い導いた。
天神 喰臥を誰もが尊敬し、誰もが敬った。
天神 喰臥は孤独であった。
その強さと功績故に天神と対等な存在はいなかった。
天神は今は亡き彼に思いを馳せる。
彼が亡くなってから50年以上の月日が流れた。
神覚者となり人間という枠組みから脱した天神は寿命という概念がなくなり、老いから解放された。
それが余計に天神の孤独感を高めた。
彼が生きていた頃の同士達はほとんどが亡くなっていた。
理由は単純明快に老衰であった。
生きている者も衰弱し弱り切ってしまっていた。
それもそうだ、50年以上の月日が流れてるのだから、ほとんどの者が100を超えていた。天神も同様であった。
ただ、神覚者である天神だけが若い姿で彼の想いを引き継ぎ続けた。
気が付くと天神は思い出の中にしか幸せを見いだせなくなった。
天神が本当に幸せだった時は2つ。
一つ目は神童ともてはやされ優しい両親がいて、皆が褒めて認めてくれた幼少期。
二つ目は彼に出会い政界の道を進み彼と数多の同士と共に日本を本気で良くしようと翻弄した中年期。
その二つの幸せはどちらも永遠に失われてしまった。
両者、追い詰められての自殺という形で・・・。
ダンジョンが生まれ、覚醒者が出現し、本来であれば世界は混沌へと陥り、滅ぶ筈であった。
そんな絶望的な未来は天神という一人の男のおかげで回避された。
でも、天神は時々思う。
こんな世界滅んでもいいのではないかと・・・。
彼の想いを引き継いで日本を変え、世界すらも変え、平和の導き手となった。
誰もが天神を高潔で気高い聖人だと思っている。
しかし、実際は違う。
ただ、彼の想いを引き継ぎ、彼に恥じない行動を取ろうとしているだけ。
極論天神にとってすれば人間なんぞどうでも良かった。どう滅ぼうか勝手にしやがれであった。
生き続け、数多の未来を見続け人間の醜い所も嫌という程知っているからこその結論である。
それでも時々みかける真なる善性に触れるからこそ人間を見捨てられなかったし、彼の想いは胸に重く重くのしかかっていた。
天神はこのまま死んでいるか生きているかも分からないような状態で世界が滅ぶまで思い出をそっと大事にしながら世界を平和に保ち続けるのだろう・・・。そう思っていた。
その日は突然やってきた。
人員が足りず、天神自ら犯罪組織を壊滅させていた。
その時にとある金髪の美少女と出会った。
金色の髪は腰の辺りまで届くほど長く、腰のあたりで髪がピンク色のリボンで結ばれており、幼さと可愛らしさを強調していた。
胸は控えめながらも確か膨らみがあり、肌は同性ですら惚れてしまう程白く美しくきめ細かった。
目はブルーサファイアの様に綺麗でありながら、くるりんと愛らしく、庇護欲をそそる。
顔、身体、全ての均一が正に黄金比と言える程整っていて、見る物全てを魅了するだけの魅力があった。
そして何よりも目を引くのはその純白に輝く魂であった。
一体どれだけの善行を積めばそれだけ輝くのか、どれだけの人に感謝され、どれだけの人を救ったのか・・・。そして、何よりも魂の色が何故か彼に重なって見えた。
神覚者になってから魂の色が認識できるようになったので、彼の魂を見たことはなかった。
なかった筈なのに、嗚呼、きっと彼の魂は彼女みたいに純白に輝いているのであろうという確信が持てた。
まるで現代に舞い降りた聖女。
天神は久方ぶりに胸の鼓動が激しく高鳴るのを感じた。
嗚呼、これが一目惚れか。
天神はモテ過ぎた故に元々性欲が薄めであったが神覚者になってからは完璧に性欲が消えてしまっていた。
妻や子なんていない独身であった。
天神は女心が分からなかった。
いくら天才といえど分からない物は分からなかった。
そして気が付くと跪いて異空間からSSSランクダンジョンの最奥で入手した宝石を神覚者である自分の力を使い強化して生み出した世界に一つしかない秘宝【リトル・ワールド・ファンタジーリング】を差し出しながら叫んだ。
「どうか、どうか。私と結婚を前提にお付き合いください」
と。
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