第4話 入部して、あっという間

決意を固めた私は後日、親に入部することを伝えた。ママは目をガン開き驚いた表情をしたが、直後には頬を上げて承諾してくれた。

その翌日。

朝のホームルームまでに職員室へ行き遠藤先生へ入部希望用紙を提出した。


それからはあっという間に過ぎた。

私は放課後の部活時間の体育館で、チームの一員として球拾い、ラインズマン、基礎、応用、と練習を繰り返した。みんな優しくて私だけ下手くそながらも支えてくれた。特に音湖さんとよくトスのペアを組むことが多かった。音湖さんは試合でもバックライトのポジションで影ながら活躍していた。バックライトは別名オポジット。音湖さんは右利きだから万能型選手の扱い。主将の流菜さんも相変わらず迫力満載のスパイクを繰り出し、とにかく凄かった。彼女のスパイクで毎度会場にどよめきの声が漏れた。私はそのどよめきの一部にいる、いわばこのチームで今ベンチ裏で声かけをしていることが誇らしい。

「前!前!!」「ナイスキー!!」「あーー、惜しい〜!」

ベンチで遠藤先生と共に白熱して試合を傍から支えた。その時間は今までの私にはない何か燃えるものが溢れていた。きっと、私もこの熱いコート上の中に入って球を必死に目掛けて飛ぶんだ!

いつしかそんな展望すら抱いていた。

最終的に県大会はベスト8で終わった。皆悔しかったけど、音湖さんと流菜さんは泣かず、満足気に今日を持って引退した。


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