第48話 別れの挨拶 後編

俺の計画した作戦が国で採用された。

確かにテイラーギルド長はそう言った。


「えっと、つまり領主の税金の徴収は続くので…?」

「いや、国自体が運営をしてくれるから領主の徴収は無くなるんだ。で、今は大工達が予定を組んで道なり迎撃装置なりを作る予定なんだ」


なんかとんでもない話になってきた。

しかも既に計画が進んでいる段階ときている。

まぁ怪我人や死人が少しでも減ってくれるならいいけども…


「それでジェイル君に相談したい事があってね」

「え?もう計画は進んでるんですよね?相談する事なんてあります?」


悪いけど細かい所の修正とか工事のやり方とか聞かれても建設系は触れた事すらも無いから分からんぞ?


「今回の作戦名なんだが…最初にこの案を出してくれた本人の名前を使って【ジェイル式】なんて─────」

「絶対イヤです!!!!!!!!」


もう反射的にそう言いました。

今後この方法が使われる度に「ジェイル式でいこう」とか言われるのが頭に浮かぶ。

うん、それは100%避けたい。

別の理由もあるが今はこの提案を無しにする事が優先だ。

俺は「わざわざギルド長が俺の身を案じて庇ってくれたのにここで俺の名前を使ったらバレる可能性がある」という理由でなんとか【アイルミロク式】で済み、誓約書も書く事になった。

少し不満そうにしてたけどマジでやめてくれ…


「そういえばこの国を出るって言ってたけど具体的にはどこに行く予定なんだい?」

「アンリさんからの紹介でラテゼ魔工皇国に行こうかと思ってます」


俺の言葉に、え?あの国に?なら…と執務室のデスクに戻り、1枚の手紙を俺の前に置いた。


「実はラテゼ魔工皇国に手紙を出そうと思っててね。どうかな?この国での最後の依頼としてラテゼ魔工皇国のギルドにこの手紙を持って行ってくれないか?報酬なら向こうでも貰えるように手配しておくから」


個人的には別に報酬が無くても手紙の1枚くらい持って行くがここは有難く貰うとする。

俺は手紙を受け取り、一礼して部屋を出た。

という事で挨拶回りは無事終了した。

残るはあと1つ。


「さて、ラテゼ魔工皇国行きの馬車の時刻調べておかないと…」


俺は別の窓口で各国への出発時間を調べに向かった。



◇◆◇◆◇◆



ラテゼ魔工皇国行きの馬車を調べていると4段階にランク分けされていた。


ランクD

最も安く行く為に無駄をこれでもかと削ったプランで大型の馬車に乗り寝泊まりもそこだけの上、食事も持参が必須

価格は金貨1枚


ランクC

基本的なプランでランクDよりも使いやすい馬車になり、食事は移動時の休息で配給される2食付き

価格は金貨5枚


ランクB

基本的なプランに加え、少し快適に過ごせるプランで座席数は少ないがベッド付きの馬車になる。

価格は金貨10枚


ランクA

最も高いプランで中継地点での寝床を使える上、向かう先での宿の予約もしてくれる。

価格は金貨15枚。


という設定になっている。

安くて1万、高くて15万。

今の所金貨には余裕があるからここは出し惜しみしないでランクAを頼んでみる事にする。

出国専用のカウンターを見付け、1番早い便を聞くと早朝に鐘が鳴ったと同時に出るとの事で恐らく出発は8時なのだろう。

という事で俺はAランクの1番早い便に予約を入れ、宿に戻った。



◇◆◇◆◇◆



宿に戻った俺はベッドに横になる。


「あー、挨拶回りもやったし、予約も入れたしで明日は大丈夫だろう。今日はもう早く寝よう」


俺はほとんど片付けを終えた部屋でもう眠る事にした。

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