第33話 レイとアテナ

一先ず俺とアテナさんは倒したゴブリン達を一箇所に集め、アテナさんの魔法でゴブリンを焼却処分した。

その際にアテナさんが眉を顰め、ゴブリン達が持っていた武器と着ていた服を眺めている。


「…アテナさんどうしました?」

「え?」

「いや、何かさっきからゴブリン達の持ってた武器とか着てた物を見てたんで…」

「あー、ちょっとね…」


そう言いながら再びチラリと武器と服を眺めていた。


「さてと、全部燃えたし、朝まで少し時間あるから休もうか」

「そうですね。次は寝坊しないようにまたさっきの音セットしときますね」


もー!言わないでよー!と少し怒りながらも俺とアテナさんは小屋に戻った。



◆◇◆◇◆◇



朝になり、村長に報告する。


「ありがとうございます。これでようやく落ち着いて寝られます」


こちらをどうぞ。と終了印が押された依頼票を渡され、俺達の依頼は終える事となった。

村長に挨拶をして帰る支度をし、一礼して村を後にした。



◆◇◆◇◆◇



ギルドに着くとアテナさんは俺にテーブルに座って待っていてと言われたのでテーブルで待ち、様子を見ていた。

アテナさんは依頼票を出し、報酬を貰っている。

だがすぐにこっちには来ないで何かをギルドの役員と話している。

ようやく終わったようで俺の座っているテーブルに寄ってくる。

そして座るやいなや、パンッ!と両手を合わせ、頭を下げてきた。


「ほんっとーにごめん!まさか爆睡しちゃうとは思わなくて!!!!」

「いや、最終的には起きて一緒に戦ってくれたし、被害も無く終わったんだから結果オーライですよ」

「それでもほんっとーにごめん!!!!」


まぁ、確かに爆睡するとは思って無かったけども…


「ま、終わったんだから良しとしましょうよ。報酬、分けましょう」


うん…と報酬の金貨と銀貨を重ねる。


「えーっと基本報酬は金貨20枚に銀貨10枚なので1人金貨10枚と銀貨5枚ですね」


ササッと貨幣を分けるがアテナさんがその中の5枚を俺の前に置いた。


「…アテナさん?」

「いや…さすがに半分なのは悪いと思って…」


アテナさんの目が泳いでいるが少しづつ視線を戻したと同時に別の方を見た。


「あ!レイ!」


俺も後ろを振り向いてみるとそこには黒いショートヘアのクールそうな女性がこちらに来ていた。


「アテナ…と君が今回彼女と同行した人だね?」

「はい、ジェイルと言います。普段はソロですが今回はたまたまアテナさんに声を掛けられたので一緒に依頼を受けてました」


そうか。と言いながら自然な形でアテナさんの横に座る。


「私はレイ。今回は済まなかったね。私の代わりに彼女に付き合ってくれて。だが君みたいな誠実な男性なら次は私も一緒に依頼を受けてみたいね」


フッと苦笑いしながらも頭を下げる。

傍から見ても紳士的な女性だった。

一緒に行った事は無いがアテナさんと2人で行く時にレイさんがワガママっ子をあやすような光景が目に浮かぶ。


「アテナ、君は迷惑掛けなかったかい?わざわざ他の子とパーティーを組んだんだ。変に迷惑を掛けてこれっきりにされても困るよ?」

「あー…えーっと…」


レイさんの問い掛けにしどろもどろになるアテナさん。

するとレイさんがこちらに視線をズラしてきた。


「あ…えーっと、まぁ夜中に爆睡して戦闘に遅れた事以外は特に…」

「わー!わー!」


必死に俺の言葉を遮ろうとするアテナさん。

レイさんはたちまち呆れた顔になっていく。


「全く、私以外の人と組むとすぐこれだ」


だから君は普段から────と目の前てレイさんによるアテナさんへの説教じみた事が始まった。

アテナさんは涙目でうぅ…と縮こまっているがなんというか…うん、可愛らしい。

だがさすがにここまででいいだろうと思い、先程の光景の事を聞く事にした。


「…そういえばアテナさん、さっき、受付の人と何か話してたみたいですけど何かありました?」

「え?……あー!そうだそれだ!」


すると突然アテナさんが身を乗り出し、俺とレイさんも呼ぶ。

どうやら大きな声では言えない類のようだ。


「私、今回の村の依頼で気付いたんだけど───────





















今回の襲撃の理由はダンジョン内のモンスターが溢れ出た可能性があるかもしれない」

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