第34話 襲撃の真相

「ダンジョン内のモンスターが?」


確かにそう言っていた。

というかこの世界やっぱりダンジョンとかあるんだ。


「アテナ、もちろんそれなりの理由はあるんだよね?」

「うん、昨日行った村なんだけど襲ってたゴブリンが鉄剣を持ってたし、中には服を着てるのがいたんだよね」


その言葉にレイさんがなるほど…と反応する。

てか鉄剣を持ってたり服を着てるだけでダンジョンから溢れたモンスターと断定出来るのだろうか?

そんなのやられた冒険者から盗ったものを使ってるって可能性もあるだろうに。


「あの、なんで鉄剣を持ってるだけでダンジョン内のモンスターだと分かるんですか?」

「ん?あぁ、ダンジョンは1つの生物で自身を守る為にモンスターを生み出す性質と自身の体内で亡くなった者を取り込んで自身の養分として蓄える性質を持っているんだ。つまり、ダンジョンにモンスターを生み出して入ってきた冒険者と闘わせ、モンスターが勝った際にはその装備品はモンスターに使わせ、身ぐるみ剥がされた冒険者はそのままダンジョンに吸収されて養分へ変わる────それがダンジョンとモンスターの共存なんだ。ただ時折ダンジョン内のモンスターが増え過ぎるとダンジョン内にいる──通称"掃除屋"と言われるモンスターが生み出されて増え過ぎたモンスターを駆除しようとするんだ。そうなると今回みたいに外にモンスターが出てしまう…という訳さ」


ダンジョン────俺の知る限りでは突然現れたり昔からあるもので、その最下層では強大なモンスターが住み着いており、生きて帰ってきた者は"英雄"として扱われるというのが一般的なダンジョンだが、この世界では違うみたいで、この世界ではレイさんの言う通り、ダンジョン自体が生命体であり、自身を守る為にモンスターを生み出してダンジョン内で倒れた冒険者を余す所なく使っているようだ。

ん?て事はダンジョンも成長して繁殖とかするのかな?

解散したらまた図書館に行って詳しく調べてみようとした時だった。


ゴーン、ゴーン、ゴーン


正午を報せる鐘が鳴る。


「おっと、もうそんな時間か。どうかなジェイル君。ここは一緒に昼食でもどうだろう?」

「あ!いいね!どう?」


突然のレイさんとアテナさんからのお誘い。

まぁこの後は図書館に行くだけだし、それにせっかく誘われたんだから無下にする気も無い。

という事で昼食の誘いに乗る事にした。



◇◆◇◆◇◆



「本当に良かったんですか?」

「あぁ、昨日、アテナの依頼をやってくれたお礼と思ってくれていいよ」


ダンジョンの話をした後、俺は2人と昼食を摂りに行ったのだがその際に支払いをしようとしたらレイさんが俺の分まで支払ってしまった。

俺的には返そうとしたんだが断られてしまい、仕方なくご馳走になったのだ。


「さて、私とアテナは宿に行くんだがジェイル君はどうするんだい?」

「俺は少し調べる事が出来たので図書館に行ってから宿に戻ります」


レイさんはそうか。とだけ答え、ここで解散となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る