第29話野良パーティーで依頼をこなそう
「大した歓迎は出来ないがね。お茶くらいは出そう」
「すみません、ありがとうございます」
俺とアテナさんは今依頼を受けた村の家にいる。
俺とその横で座っているアテナさんは落ち着かないのか家の中を見渡していた。
カチャ…
俺とアテナさんの前に紅茶が置かれ、一口飲んだ。
この村は1番街から近い村で先程通ってきた谷とも近い所にある。
依頼主はこの村の村長にあたる人物だ。
村については柵等を厳重にやってモンスター対策をしている為、あまり被害は無かったのだがここ最近になって突然被害が増え始めたのだとか。
「実は今回、ギルドからある薬品の試験も受けているんですがここで同時進行しても大丈夫ですか?」
「ええ、駆除して頂けるのでしたら構いませんよ。何か必要な物があれば遠慮無く申し出て下さい」
アテナさんは、分かりました。と言って立ち上がり俺を呼んで家を出た。
「さーて、話も聞けた事だし早速準備でも…」
「ちょっとアテナさんいいですか?」
俺は唐突に始めようとしたアテナさんを止める。
個人的にその薬品が気になったからだ。
薬品を使うにしてもその効果がどんな物か知っておく必要がある。
「ギルドの方から渡された薬品は4種類あるよ」
1つ目は本来虫除けに使われる薬品なのだが今回はその薬品の濃度を5倍に濃縮した試験薬品。
2つ目はモンスターが好む匂いを辺りに撒くがその薬品そのものを口の中に含むと猛毒になる試験薬品(人間にも同様に効く)。
3つ目は竜といった高ランクのモンスターの血液を再現した擬似的な血液の試験薬品。
4つ目はモンスターが嗅ぐと筋肉を弛緩させ、一定時間動けなくなるようにした2つ目の改良品。
この4つをギルドから渡されたみたいだ。
「じゃあジェイル君はこの1つ目と…」
「待って待って待って!?」
俺の静止に、え?という表情をする。
「撒くって言ってもその効果を確かめる必要があるんですよね?」
「まぁ…そうだけど…」
「…もしかしてザッと撒いて近くで待機する予定ですか?」
「それしかなくない?他に確かめようある?」
個人的に1つ思い付いている事がある。
俺はアテナさんに待っててほしいと言って先程の村長の所へ向かった。
◇◆◇◆◇◆
「お待たせしました」
「おかえりー…って何それ?」
俺が用意してもらったのは
・鈴8個
・麻紐8本
この2つだ。
「…何か思い付いてるみたいだけどどうするのそれ?」
「これらを鈴1つに付き麻紐を1本結んで用意されてる小屋に引っ掛けるんです。で、その麻紐を四方向に伸ばして森と村の入口付近に引っ掛けた後、ちぎれやすい植物をまたその麻紐と結んで横に伸ばすんです。そしてその真ん中に薬品を置けばその薬品が効くかどうかも判断出来ると思います」
つまり配置の順番的に
森、植物、薬品、柵、植物、鈴
という配置になる。
「え、でも植物はちぎれちゃうけどいいの?」
そう、実はそのちぎれるのが必要なのだ。
天井から鈴を吊るし、麻紐はその鈴が吊るした所から引っ張られた状態になるようにピンと張って伸ばしておき、その先で植物を結んで木に巻き付ける。
するとその植物はモンスターの通り道を通せんぼするような形になる。
大抵のモンスターならその横に張られた植物が邪魔なら乱暴に切ったりして無理矢理通ろうとするだろう。
そうするとピンと張った麻紐は切れ、その反動が鈴に届いて揺れ、音が鳴るという仕組みだ。
そして8個したのは四方向に各2つ必要で、森を通った時にその方角の1個目の鈴が鳴り、俺達は戦闘態勢になれる。
村に近付いてくるがその前には薬品があり、その薬品に効果があれば2つ目の鈴は鳴らない。
だが2つ目の鈴が鳴ったらその薬品は効果がモンスターに対して効果が無かった証拠にもなり、モンスターが接近している合図でもある。
「──という事です」
俺の説明にポカーンとアテナはしていた。
「えっと…よく分からないけどつまりその方法なら薬品の効果も分かるしモンスターの接近も分かるって事でいいのよね?」
「そうですね」
なら早速仕掛けよう!とアテナさんは麻紐と鈴を持って小屋に向かった。
…この子脳筋過ぎない?
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