第27話ランク昇格
待合室に案内された俺はソファーに座り、アーリアさんの到着を待つ。
準備を終えたのか、アーリアさんが入ってきて真向かいに座る。
「お久しぶりですね。ジェイルさん。今回は以前保留にしていた昇格の件でお話をしに来たと伺いましたが…」
「はい。今回の依頼の帰りにゴブリンと遭遇したのですが落ち着いて討伐出来たので、これなら問題無いだろうと重思い、昇格をお願いしたく呼ばせていただきました」
「ゴブリン…?失礼ですがジェイルさんは今回どちらの方に行かれたのですか?」
「?えっと…ラガス鉱山の方ですけど…」
俺の言葉を聞いたアーリアさんはすぐに持っていた多くの資料の中からある資料を見詰めていた。
「…なるほど…もう1つお伺いしたいのですがジェイルさんはそのゴブリン以外で何かモンスターと遭遇しましたか?」
「いえ?遭遇したのは2体のゴブリンのみです」
そうですか…と少し安心した様子を見せる。
…何か俺はやらかしたのだろうか?
「えっと…何か俺不備でも…?」
「あ、いえ、実を言うとジェイルさんが今回依頼を受けた場所は本来───ゴブリンとの遭遇は滅多に無い所なんです」
「?生態系が変わり始めてる…という事ですか?」
「すみません、詳しい事はまだ断定出来てない上、余計な混乱を避ける為、情報公開は出来ないんです」
…どうやら俺はかなり深刻な事に首を突っ込もうとしたようだ。
俺自身あまり強くない。
それゆえにあまり危険な橋は渡りたくないのが本音だ。
「ですが情報提供の方は感謝いたします。それと今回の件でジェイルさんの昇格は受理されます。ギルドカードを更新しますので今お持ち頂いているカードをお預かりしたいのですが宜しいですか?」
俺は分かりました。と伝え、カードを渡す。
アーリアさんはカードを受け取り、部屋を出た。
◇◆◇◆◇◆
10分くらいしてアーリアさんがトレーを持って戻ってきた。
「それではジェイルさん、現在を持ちましてアイアンランクからブロンズランクに昇格が決定しました。まずはこちらのカードをお渡しします」
トレーごと、俺の目の前に新たなカードが渡される。
そのカードは今までの鉄感が無くなり、銅色に輝いている。
冒険者名:ジェイル
ランク:ブロンズ
登録日:✕✕/○○
クエスト達成率100%
ランクの部分が"ブロンズ"に変わり、達成率も100%となっていた。
「ランク昇格、おめでとうございます。ジェイルさんのこれからの活躍に期待をしております」
やっとだ…
やっと俺は────
昇格したんだ。
「…謹んでお受けします」
俺は自然と頭を下げていた。
今回の件でギルド側と俺との間でより強い信頼関係を築けた。
このランク昇格はその証拠である。
だからこそ、今後も失敗は無いようにしたい。
「ジェイルさん、今後ともお気を付けて」
「はい」
俺は新たなブロンズランクのカードを財布の中に入れ、ソファーから立ち上がる。
「失礼します」
俺はそう一礼して部屋を出た。
◇◆◇◆◇◆
ギルドから出て俺は使っている宿に戻っていた。
パタン…
静かに扉を閉める。
「~~~~~~っ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ボフン!!!!!!!!
嬉しさのあまり俺はベッドに飛び乗り、枕に顔を埋めて叫んでいた。
やっと…
やっと昇格出来た。
いや、前から昇格の話はあったがその時は自信が無かったのだ。
だが今回の咄嗟のゴブリンの討伐で冷静に対処出来た事によって自信が付き、自らの意思で昇格を打診した。
その上でそれは受理され、ランクが上がったのだ。
「~~~~っし!今日は飲むぞー!!!!」
俺は自らお祝いとしてギルドへ食事をしに行った。
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