徹夜で読み切って、私は泣いている

社会人になって日時が経つほど「あぁ、私の感性も衰えた。涙なんてもう出ないよ」と感じることはないでしょうか。

私は感じていました。
過去形になってしまうのは、この物語を徹夜で読破し泣いたからです。

社会人が何やってんだいと思われるかもしれませんが、この物語にはそういう魔力があります。

この物語は歴史ものを扱うのに異常に取捨選択が上手く、その癖、異常に丁寧に書いています。
ルイ14世(のものとされている言葉)は「朕は国家なり」と絶対王政を評したそうですが、この物語は「王権の解体」と「人間の解放」を軸に描かれているように思われました。
その為、主人公を通して王権(人に非ざるもの)と人の間で揺れ動く様、苦悩する様があまりに克明であり、それが魔力となって読者を離さない。

嗚呼、偉大なこと、偉大な王……
私は長い間、あなたを忘れない。