書籍化も納得の名作

 異世界ファンタジーといえば、皆さん、なにを思い浮かべるでしょうか。

 おそらく、ドラゴンなどの強大なモンスターや魔法での戦いやわくわくどきどきするような冒険を想起する人が多いのではないかと思います。

 本作ではそれらは一切登場しません、

 この小説には、チート能力、現代知識無双、最強主人公、スローライフ、などのような流行りの要素は一切ないです。

 この作品の大半は、一癖も二癖もあるキャラたちの婉曲的な言い回しや腹の探り合いなどの汚なくてめんどくさい政治の話が占めます。

 主人公はサンテネリという国の王に転生するのですが、問題だらけの国の舵取りにひたすら悪戦苦闘させられ続けます。

 どこまでも現実的で、物事が上手く進むことの方が少ないです。

 しかし、だからこそ、この物語には他の作品にはなかなかない深みがあります。

 作り込まれた世界観や設定、魅力的なキャラたち、それらが絶妙に調和し、重厚な人間ドラマが生み出されています。

 わかりやすいすごさや目を引く派手さはこの作品にはないです。
 異世界にスカッとする復讐劇や強大な力で敵を打ち倒すような主人公を期待するような人には地味な作品かもしれません。

 しかし、この小説は間違いなく面白い。
 また、面白いだけでなく、心を震わせる名シーンや名台詞がたくさんあり、読み終えた時には大きな感動が待っています。

 私は創作物を読んで、あまり感動することはなく、泣くことなんてほとんどないです。
 しかし、この作品の終盤は涙を流しながら読んでいました。
 こんなことは私の記憶する限りでは、初めてです。

 是非読んでみてほしいです。私は気づいたらどんどん読み進めていました。
 政治の話が好きな人は間違いなく私のようにドハマりすると思います。

 書籍化するらしいですが、それも納得の出来です。

 書籍版が販売されたら、購入させていただこうと考えています。
 私はWEBで無料で読める作品は、いくら好きな作品でも買わないことが多いのですが、本作は久々に書籍も手に入れたいと思わせるほどの作品でした。

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